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<06> -隣人が厨二病すぎてやばい!!-


 隣人は厨二病じゃなくて変態です。

 ない。ノートがない!!

 やばいッ!!叫びたいッ!!授業中だけど叫びたいッ!!

 鞄を確認してみたらノートなんてなかった。

 確かに朝入れたはずだ。なのに入ってないってことは………このクラスの誰かが盗んだ?

 いや、そんなはずはない。もしあんな爆弾をこの教室に広げたら今みたいな静かさは訪れないはずだ。うん、絶対。

 もう満面の笑みでヒソヒソとみんなの視線を釘付けにしていないとおかしいわけだ。

 それがないって事だからその心配はない。つまりは―――。


 外部からの干渉が?まさか、それが魔法石の門(クロウリーズ・ゲート)の選択だというのなら俺は………やばいな。これ即興で作ったわりには俺好みだ。

 クラスの誰かとかではないとは思うが………今現在読んでる最中で後々で出てくるとかそういう落ちのがありえる。だから探しつつ暫く様子見するほうが無難な気がする。いや、それだと本来の持ってきた目的を見失ってないか?今だと設定確認のために手元に戻ってきてくれることが一番と考えている。いや、だめだろ。俺は厨二病患者というレッテルを消したいんじゃないのか?なんか再発しつつある気もするがそれは気のせいであって魔法石の門の選択では………って言っときながらなんか言ってるし………。

 なら目的を戻ろう。ノートの発見が第一目標とし、ついででロキを探そう。正直どうでもいいんだが俺の普通な高校生ライフを取り戻すためにはロキには犠牲になってもらって、元凶である三姉妹には厨二世界へ帰ってもらおう。うん、それが一番だ。でもあいちゃんにはいて欲しい。なんだかよくわからない蟠りである。


 とりあえずざっと教室を見た感じだと。真面目に授業を受けてる奴、立て肘で船をこいでいる奴、小さく談笑してる奴ら、携帯電話をいじってメールしてる奴などなど存在している。この中で本らしいものを読んでいる奴は存在していない。つまりはこの中にはいないかあとで読もうとしているのかもしれない。

 油断はできない。もう少し様子を見ていよう。




 その後、特に変わった様子もなく一日の授業が終わった。

 杞憂だったのか、いや現に鞄のから消えている事実がある。家に帰ってみればノートの事実があるかもしれない。それにかけるべくして俺は一度家に確認してみることにした。


「オサム様はもうお帰りですか?」

「あ、あぁ………」


 俺が急いで支度して席を立ったのを何か急ぎの用と思ったのだろう。それを捉えるとすぐさまミーシャも鞄に教科書類を鞄に入れようとする。


「あぁ………俺急ぐから。またなミーシャ」

「あ、あ、あぁ………」


 あわあわと慌てふためきながら準備をするミーシャだったが手元をくるってその場に教科書をぶちまける始末だった。これは明日謝りの一言くらいかけないといけないかもしれないとため息を漏らして教室をあとにするのであった。


「あ、伊藤君。ちょっといいかい?」

「神城?どうした?」

「これ、進路指導。明日までだから急いでね」


 そう神城は眼鏡光らせて一枚の紙を渡された。この神城という少年は同じ中学だったのもあってそこそこ俺と仲もよく、俺のイタイころの一番の被害者とも言える。スポーツしても勉強にしてもこいつには一切勝てず同じ高校を受験すると聞いたときは組織のマインドコントロールを喰らったのではとガチで考えてたほどだ。

 そういえば進路指導とかいう紙渡されたっけな。


「あぁ、ありがとう。そういえば無くしたんだった」

「気をつけろよ。担任に怒られるのは俺なんだから」

「あいよ。またな」

「またね。―――ヒョウガ君」


 最後に真名を言われた気がするが気のせいであろう。あれは今日まで一度も口にされたことがない名前だし、知ってる奴なんて………今日のことでいっぱいいるのか。

 そういえば神城の名前ってなんだっけな。


 ―――神城(かみしロ)

      桐生(キりゅう)―――だったか?




 * * *




 家に帰ってみてもやはりあの『ブック・オブ・ネクロノミコン』とかいう馬鹿みたいな爆発物は発見されなかった。それどころか乱度世流(ランドセル)さんもいない始末だ。もしかして久しぶりの登場ではずかしがって姿を隠しているのかもしれないと少し思ってしまったが気のせいだったようだ。

 って、ちょっと待て。乱度世流さんいないってことは中学時代にお世話になった【紅 夕(くれないゆう)】のDVDとかその他モロモロどっかいったってことじゃないか!!

 こうしちゃいられない。あの母親のことだ朝の出来事でしてたのかもしれない。すぐさま家を出て近所のゴミ捨て場へと走る。

 明日の朝は燃えるゴミらしく雑誌類の山が少し離れたここまで大きく積まれてるのが見える。というか既に誰か先客がいるようだった。


「ハァハァハァ………」


 やばいのがいた。

 シュレッターパズルマニア(仮)の近所に住んでる松田さんだ。変なのに出会ってしまった。本来なら回れ右してその場から離れたいが今はそんなことをしてる場合ではない。つかやはら人気がないと思ったらこいつの存在があったからだと納得する。そりゃ誰もこんな変人を見たくもないし話かけられた日にはこの小さな家々に変な噂が充満されることを保障されてしまう。

 うわ………。彼と同じステージに立ちたくない。でも立たないと俺の思い出という宝物が捨てられてしまう。下手したら俺の戦友である乱度世流さんもそこにいるかもしれない。

 乱度世流さんのことを思うと胸がはちきれそうだったので俺は止めた歩みを一歩一歩進める。

 それに気づいたようでシュレッターパズルマニア(仮)の近所に住んでる松田さんはこちらを一瞥するなりまた作業に戻った。


「ど、どうも………」


 いちおう挨拶しておいてそのままゴミ袋を一つずつ調べはじめた。


「君も………好きなのかい?」


 なんか話しかけられた。


「えっと………なんのことですか?」

「ハァハァハァ………」


 満面の笑みで松田さんはシュレッターを取り出した。

 こいつガチだ!!こいつガチのシュレッターパズルマニアだ!!

 もう(仮)とかはずしてシュレッターパズルマスターに改名だよ!!


 愛想笑いをして戦友を探しにきたことを伝えると松田さんは一つの袋から取り出したシュレッターをビニール袋に入れて縛り、次の袋へ移る。これ警察に電話すれば捕まえられるレベルだよな。

 そう思うと、もし今警察がきたら俺も捕まるのではないか?と変な思考が過ぎるが現実逃避という言葉を頭に浮かばせて作業に戻った。ちょいちょい松田さんが俺をシュレッターパズルに引き込みたいのか


「このグジャグジャ感とかたまらないよね。復元するときのことを考えるだけでいっちゃいそうだよ」


 一人でいってくれと無視して全ゴミ袋を見る。それらしいものが多々あったが中を見ようとすると「それまだ確認してないからまだ見ちゃダメだ」と言ってきた。もう俺の必殺の邪王炎殺黒龍波を使ってやろうと思ったが燃えるゴミにまで火が移ってしまったらだめなのでやめておいた。とりあえず郷に従っておこう。

 これをクラスの連中に見られたらどう思われるか………。


「………」

「「「………」」」


 空を仰いだら二階建ての一軒屋の屋根の上に見知った三人の美少女と目が合い、その美少女はすぐさま姿をくらました。

 おいおいおいおいおいおいおいおいおいおい。見られた。いや、あいつらならまだマシなのか?実際あいつらはフィクションの人間だ。ノンフィクションの人間ではない。フィクションはフィクションなんだから心配は―――。


「ダーリン。こんなところで会うなんて奇遇だね」


 なぜ何気ない顔でこっちに来た!!


「オサム様。お召し物が汚れますよ」

「にぃに。くさい」


 あいちゃんの言葉が今日一日で一番きつい言葉だった。つか松田さんまでも何か射止められたような顔してる。お前もロリコンか。『も』っていったらまるで俺もロリコンみたいじゃないか!!俺はシスコンだ!!


「ど、どどどどっどど同士伊藤。彼女はいったい」


 いつから同士になったんだよ!!怖いわこの人。


「知り合いですか?オサム様」

「いや、全然―――」

「はじめましてレディー。私の名前は松田と申します。趣味はシュレッターパズル、好きなものはイカソーメン、嫌いなものは大根。どうぞお見知りおきを」


 そっとあいちゃんの手を取ろうとしたのでその手を俺が払った。俺のあいちゃんに触ってんじゃねーぞ。体中嫌いな大根みたいな体してるくせに、大好きなシュレッッターパズルにするぞ。


「んで?ダーリンは何やってんだよ」

「むしろお前等までここで何してんだよ」

「―――護衛?」

「帰れ」


 なんか色々萎えた。

 乱度世流さんごめん。君のことは忘れない。


「そんなこと言われましてもワタクシ達の使命はオサム様の護衛とロキの捜索ですから」


 あー、護衛とかどうでもいいからさっさとロキ探して帰ってくれ。聞く耳もたずにさっさと帰ろうとしたときだ。


「もしかして組織の人間かい?」

「「「「………はい?」」」」


 まさかの松田さんが組織の存在を知っているっていうのかぁ!!


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