お題『諸手(もろて)を挙げて、悦べよ?』前編
この世に産まれた者、須らく死せり。
お父さんもお母さんもお兄さんもお姉さんも赤ちゃんも。
大統領も富裕層も貧民層も。犬も猫も杓子も。
豚も牛も羊も狼も、須らく死ぬ。
少女「ママ、死んだ人間はどうなるの?エルの楽園に行って天使になるの?」
病気の天使は囁いた。「あ?ブチ殺すぞ。人間。皆、もれなく地獄行きだ。バーカ。」
お題『諸手を挙げて、悦べよ?』 作・フジタカ
ピーポー、ピーポー。
「警察だ!動くな!!強姦罪及び殺人罪で連行する!」
僕はおもむろに手を挙げる。
カズマ(僕)「諸手を挙げて、悦べよ?」
パンッパンッ、パンッ!
渇いた銃声が谺する。
警察「ハハハハハ!死んで詫びろ!社会の屑が!!」
瞬間、目の前が真っ暗になった。
………。
……。
…。
僕「ん?此処は…?」
〜地獄〜獄頤鳴鳴冥獄界
死人A「ぎゃああああ!助けてくれぇえええ!!死にたくないぃい…!!!!」
死人B「痛いぃい!痛ぃいい!勘弁してくれえええ!!」
死人C「うわあああああん!!帰りたい!うちに帰りたいよおおお!母さん!母さああん!!」
牛頭と馬頭が死人に鞭を打つ。皆、現世での罪人。何百年、何千年もの重労働を強いられているようだ。
死人D「ああああああ!!死にたい!死にたいぃい!死にたくても死ねねェんだあ!!助けてくれええ……水、水が飲みたいだけなんだ。」
牛頭が無言で、鞭をしならせる。
バチンッ。皆、傷だらけの血塗れだ。
馬頭が罪人に大量の石を運ばせる。何の為に…?当然、意味なんてない。ただ苦しませる。それが『地獄』だ。
詠み人鬼「閻魔大王のおー成ーりー!!」
瞬間、牛頭と馬頭は、姿勢を正し、敬礼をする。閻魔大王ーー、この獄頤鳴鳴冥獄界の主だ。
閻魔大王「ふむ。やっとるな。最近の人間共は根性が無くてな……すぐ根を上げるわい。」
閻魔あい「おじいちゃーん♥ちゅっ。」
閻魔大王「ほほほ。愛いのう。儂の孫は。待て待て、今仕事中じゃて。」
鬼のような形相をした閻魔大王も、孫の前ではデレデレとする。
閻魔あい9才「おじいちゃん、お仕事終わったら、あいとお風呂入ろー?背中洗いっこしたーい♥」
閻魔大王「良々(よしよし)。」
カズマ「ここはーー地獄か?僕は確か警察にピストルで撃たれてーー。僕は、死んだ、の…か……?」
詠み人鬼「静粛に。静粛に。これより罪人『齋藤 和真』の判決を言い渡す!罪状はーー。」
閻魔大王「ふむ。強姦6件に殺人8件。週末の夕方、平和な家族の居る宅に忍び込み、女、子供は犯し、男は殺す。その後、物品は取らず現場から逃走。それを繰り返す。
悪質じゃの。つまり、大犯罪者じゃ。地獄にはよく居るがの。」
閻魔あい「非道ーい!何でそんなことするのー?平和に暮らしてる人間がかわいそうだよー。」
カズマ「…………。」
閻魔大王「判決を言い渡す。250年の石運びと180年の鞭打ち。その後、三途の川流しとする。」
カズマ「…ちっ。」
閻魔あい9才「こんな悪い奴、はやく三途の川流しにしちゃえば良いのよ!ね、おじいちゃん♥」
カズマ「うるさい。犯すぞ、メスガキ。」
閻魔あい「はい、刑期100年追加!がんばってねー、人間のお兄ちゃん♥」
閻魔大王「…………。時にカズマとやら、死んだ両親を見たくはないか?」
カズマ「あ?会えるのか?死んだお袋と親父に。閻魔大王も粋な事するな。」
閻魔大王「牛頭、馬頭。齋藤 和真の両親を連れて来い。」
「ヒヒーン!」「モーモー、モー。」
痩せ細った牝馬と、ガリガリの皮膚病の雄牛が来た。
カズマ「……?」
閻魔大王「ふふ。心の声を聞いてみるか?」
雌馬「(カズマ!母さんよ!どうして、地獄に来ちゃったの?何か悪い事したの?小さい頃はあんなに良い子だったのに……。お母さん哀しいわ。)」
雄牛「(ああ、痒い。痒いよう……。薬も綺麗な水も無い。此処は地獄だああ。痒くて、痒くて、おかしくなりそうだ……ああ、家に帰りたい。帰って暖かい部屋で、野球中継を観てキンキンに冷えたビールが飲みたい。痒いよう…」
カズマ「お袋!親父!大丈夫か…!」
閻魔大王「残念じゃのう。珠の息子が悪さをしたばっかりに、畜生に変えられてしまった。何処にでも居る善良な夫婦だったのに。悪さはするもんじゃないのう……のう?カズマ。」
カズマ「ざっけんな!ざっけんな!お袋と親父は関係ないだろう!」
閻魔大王「あるさ。『お前』を産んだ。大重罪だ。」
雌馬「(ううう……カズマ。どうして人を殺したの?あんなに優しい子だったのに……他人様に迷惑をかけるだなんて。お母さん、悲しい……)」
雄牛「(ああ、野球中継が観たい。ビールが飲みたい。もう二度と俺たちは人間の姿に戻れないんだああ……あんなに一生懸命家族の為に働いたのに。ううう……)」
二頭「「お前なんて、産むんじゃなかった。」」
カズマ「ひいいいいっ…」
閻魔大王「よし、牛頭、馬頭。畜生を連れて行け。」
二頭「あああああ!助けてェええ、助けてェええええ。殺されるううう。水、水が飲みたい。頼む…一口だけでも……」
ボコッ、ボコッ、ボコッ、メキョメキャ…
牛頭と馬頭に棍棒で、滅多打ちにされる両親。皮は捲れ、腫れ上がり、血塗れのボロボロだ。肉片が飛び散る。
カズマ「やめろぉ、やめてくれええ!!!」
閻魔大王「反省したようじゃの。じゃ、儂はちと孫と用事があるから。」
カズマ「うう、ううう……。」
閻魔あい「あはっ!終わった?おじいちゃん!はやくお風呂はいろー!流しっこ!流しっこ!」
閻魔大王「ほほ。」
あいがカズマを無言で睨めつける。
閻魔あい「………。やい!バカ悪党!さっき『犯してやる』って言ったこと忘れないんだからね!あと子供扱いしないでよね!?あい、もう大人なんだから!」
カズマ「小便くせーなあ、まんこに毛も生えてないメスガキが。ちゃんと奥まで洗えよ?」
閻魔あい「変態!死んじゃえ。バーカ!」
頬を紅潮させたあいと、それを宥める閻魔大王。二人は仕事を終え、去っていく。
カズマ「………。刑期530年に三途の川流しーーさて、どうしたものか。」
カズマは諦めて居なかった。
現世に帰る事を。まだ僕にはやり残した事がある。
カズマ「ふふふ。諸手を挙げて、悦べよ?」
カズマは、口角を歪ませ、不敵に嗤った。
「僕は必ず現世に帰る。どんな手を使っても!」
To Be Continued…『更なる地獄に続く。』
~地獄の桜並木道~
閻魔あい「あーあ。ひまー。あいも人間界に行ってみたいなあ。人間の世界のお菓子が食べたーい!きっと美味しいんだろうなあ……。」
カズマ「おい、ツルペタ、人間の世界にはMrsドーナッツってのがあってな?天にも昇る美味さだぜ?」
閻魔あい「あー!新人の変態お兄ちゃん!鞭打ちはー?石運びはー?そんな所で油売ってると、おじいちゃんに言い付けちゃうんだからね!」
カズマ「まあ、聞け。僕を甦らせてくれたら、ありったけのドーナッツを腹いっぱい食わせてやると約束する。生憎、お金には不自由してないんだ。悪い話じゃないだろ?」
閻魔あい「ご、ごくり。ドーナッツかあ……美味しいんだろうなあ。まあ、確かにキ〇ガイ地獄外道文『現世転生の書1』なら、持ってるけど……。おじいちゃんから預かってるんだよね。う〜ん、でも、こんな悪党に……(悩むあい)」
カズマ「OK…大人のKissしてやるよ?ツルペタ幼女。」
ずきゅううううううん!!!そこにシビれる憧れるゥ!!(効果音)
あい「!? きゃっ!?お、大人の味……ドキドキ。つ、罪な味ね!罪人だけに!」(ちょっと待って!ヤバヤバやば!今の無し!今の無し!?あい、ひょっとして大人の階段昇っちゃった!?シンデレラウィークまだなのに??!しかも、こいつ意外とKissが上手い!?)大混乱。
カズマ「……どうだ?僕と一緒に人間界に来ないか?閻魔あい」
あい「………。分かったわ。その代わり約束して!もう人は二度と犯さない。殺さないって。子供も赤子もよ。あと、ドーナッツの件……忘れないでよね?」
カズマ「オーキードーキー。交渉成立だ。諸手を挙げて、悦べよ?」
閻魔大王「あっ!?何処に行くんじゃ!あい!」
あい「おじいちゃーん!ごめーん!ちょっと人間界行ってくるー!あと『キチ〇イ外道地獄文』借りてくからー!逝って来まーす!」
カズマ「逝って来るぜ?閻魔のジジイ。あと僕がまた死ぬまでにお袋と親父、人間に戻しとけよ?辛い記憶も消してな、こん畜生。」
閻魔大王「待てー!!?わ、儂の可愛い孫を何処に連れて行く気じゃ!!『齋藤 和真』!ふざけるなああああー!!」
牛頭・馬頭・詠み人鬼「ぽかーん。」
閻魔大王「とほほ。」
こうして、僕は地獄を脱出する事に成功した。一人の地獄少女を利用してーー。
閻魔あい「ぱないの!」(ドーナッツに夢中)
To Be Continued…『現世(Mrsドーナッツ屋)へと続く。』




