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第二話 星の子の大冒険


あれから、幾年もの時が流れました。


あるとき、星の子は、お父さん星とお母さん星から、ひとつのお願いをされました。

それは――

昔、地上に落としてしまった「星の石」を探してほしい、ということでした。


星の子は、なつかしい笹船に乗り、

ふたたび、地上への旅に出ました。


旅の途中、星の子は、たくさんの国を巡りました。


古代エジプトでは、

大きなスフィンクスとにらめっこをして、

ついには、どちらが先に笑うかで、けんかになってしまいました。


ナイル川では、

大きなワニに追いかけられ、

必死に笹船をこぎながら、夜空に助けを求めました。


遠い東の国、日本では、

桃太郎という元気な少年と出会い、

いっしょに鬼退治に出かけることにもなりました。


どの国でも、

星の子は笑い、驚き、泣いて、

少しずつ、たくましくなっていきました。


そんなある夜、

星の子は、ふと、昔のことを思い出しました。


――あのお姫様は、いま、どうしているだろう。


楽しかったなあ。

もう一度、

おはじきや、はごいたで遊びたいなあ。


星の子は、そう思い、

お姫様が嫁いだと聞いた国へ向かいました。


お城にたどり着くと、

そこには、かつてのお姫様がいました。


けれど――

もう、あのころのお姫様ではありません。


お姫様は、おかあさまになり、

小さな幼子の手を取り、

やさしく笑いながら、遊んでいたのです。


星の子の胸は、きゅっとなりました。


声をかけたい気持ち。

それでも、声をかけてはいけない気持ち。


星の子は、そっと、その場をあとにしました。

何も言わず、何も告げず、

そのまま、天へ帰ることにしたのです。


空へ昇る途中、

星の子の目から、ひとしずく、涙がこぼれました。


その涙は、地上へ落ち、

きらきらと光る「星の石」になって、

お城の上を、やさしく覆いました。


その夜――

城の庭から、星空を見上げていたお姫様は、

ふと、立ち止まりました。


「あら……きれい。美しい星空ね」


お姫様は、幼子を抱きしめながら、

静かに、空を見つめました。


空いっぱいに、星が降る夜でした。


それは、

誰にも気づかれなかったけれど、

確かにあった――

星の子の、大冒険の終わりでした。

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