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第一話 星の子とお姫様


むかし、あるところに、たいへん美しいお姫様がいました。

その美しさは、花や宝石よりも、やさしい心のひかりがにじみ出るようなものでした。


ある夜のことです。

空から、そのお姫様を見つめている星の子がいました。


あまりにも美しいお姫様だったので、

星の子は、どうしてもその笑顔を、近くで見てみたくなりました。


そこで星の子は、人間の子どもに姿を変え、

そっと地上へおりてきたのです。


星の子とお姫様は、すぐに仲良くなりました。

ふたりは庭で、おてだまをし、

おはじきを転がし、

はごうたをして、声をあげて笑いました。


時間はゆっくり流れているようでした。

けれど、楽しい時間は、あっというまに過ぎてしまいます。


夜明けが近づくころ、

星の子は、旅立たなければならなくなりました。


それを知ったお姫様は、

胸がぎゅっとしめつけられるようで、

ぽろぽろと涙をこぼしました。


星の子も、同じように泣きました。

ふたりは、何も言わず、ただ一緒に泣きました。


やがて、朝が来る前に、

星の子は、小さな笹船に乗りました。


涙でぬれた笹船は、

夜露を受けて、きらきらと光っていました。


星の子は、何度もふり返りながら、

泣く泣く、夜の川を下っていきました。


それから、いくつもの季節がめぐりました。


お姫様は成長し、

やがて、隣の国のお殿様と結婚し、

あたたかく、やさしい家庭を築きました。


ある晩のこと。

幼子の小さな手を引いて、

お姫様は空を見上げました。


すると――

あの夜と同じように、

ひときわ美しい星が、空に輝いているように見えました。


「星の子はいま、どうしているのかしら」


お姫様は、胸の奥で、そっとそう思いました。


そのとき、

すっと、流れ星が夜空を横切りました。


それは、まるで

「だいじょうぶだよ」

と、語りかけているようでした。


お姫様は、微笑み、

幼子の手を、ぎゅっと握りました。


きっと星の子は、

いまもどこかで、

しあわせに暮らしているのでしょう。


そしてそのひかりは、

これからもずっと、

夜空で、やさしく瞬きつづけるのです。

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