第4章:「初めての血」(後編)
凍りついた。
それは鋭く、喉から出る、間違いなく人間ではない音だった。
俺の左から来た。森のより深い部分から。
別の悲鳴が応えた。それから別の。重なり合う声が、ある種の原始的な方法でコミュニケーションを取っていた。
*くそ。*
ゆっくりと、非常にゆっくりと、立ち上がり、音の方を見た。
木々の間、約30メートル離れたところに、彼らが見えた。
ゴブリン。
三体。
想像していたよりも醜かった。子供ほどのサイズの人型の生き物だが、ねじれて奇怪だった。いぼだらけの緑色の肌。大きくとがった耳。悪意に満ちた知性で輝く黄色い目。ぼろを着て、粗末な武器を持っていた。釘の付いた木製のメイス、錆びた短剣。
そして彼らは俺を見つけた。
一体が俺を指さして何かを叫び、他の二体が振り向いた。
一秒間、誰も動かなかった。
それから、見えない合図が鳴ったかのように、三体全員が俺に向かって走り始めた。
*走れ!*
俺の体は心より先に反応した。振り返って走った。
枝が顔を打った。ブーツが根や石を踏んだ。背後でゴブリンが追いかけてくる音が恐ろしかった——鋭い悲鳴と速い足音が混ざり合っていた。
彼らは速かった。予想よりも速かった。
肩越しに振り返った——
失敗。
足が根に引っかかった。うつ伏せに倒れ、地面に激しく打ちつけた。肺から空気が苦しい息で出た。
メイスが頭があった場所に叩きつけられたちょうどその時、転がった。石が砕けた。
後ろに這い、震える手でナイフを引き抜いた。
三体のゴブリンが俺を囲み、半円を形成した。笑っていた——あるいはその歪んだ表情が彼らの顔で意味するものは何でも——鋭く黄ばんだ歯を見せていた。
一体が一歩前に出て、メイスを振った。
ナイフを上げた——
メイスが俺の手を残酷な力で打った。ナイフが飛んで行き、数メートル離れた場所に着地した。
指から爆発的な痛みが放射した。
*だめだ、だめだ、だめだ——*
---
二体目のゴブリンが錆びた短剣を持って突進してきた。
横に転がり、刃がシャツを裂き、脇腹をかすめるのを感じた。鋭い痛みだが、浅かった。
ナイフに向かって這った——
肋骨への蹴りが俺を止めた。肺から空気が出た。咳き込み、喘いだ。
*ここで死ぬのか。*
*追放されてたった一日後、ゴブリンの手で死ぬのか。*
*なんて哀れな。*
三体目のゴブリンが頭上にメイスを上げた。すべてがスローモーションで見えた。木に付いた錆びた釘。その顔のサディスティックな笑み。死が降りてくる——
*いやだ!*
俺の中で何かが壊れた。
いや。何かが*目覚めた*。
ここでは死なない。
これまでのすべてを経て、死ぬわけにはいかない。
戦わずして死ぬわけにはいかない。
持っているすべてを使わずして死ぬわけにはいかない。
たとえそれが皆が笑ったスキルだとしても。
たとえそれが「役立たず」だとしても。
それが俺が持っている唯一のものだった。
*『縫製』*
「起動しろ!」と叫んだ。
---
世界が止まった。
半透明のウィンドウが目の前に現れた。空中に浮かぶ輝くテキスト。
【スキル:縫製】
【機能を選択:】
▸ 切る
▸ 測る
▸ 縫う
考える時間はなかった。メイスはスローモーションで俺の頭蓋骨に向かって落ちていた。
*切る!*
心がコマンドを叫んだ瞬間、視界が変わった——
ゴブリンが固体の生き物ではなくなった。
彼らは……布だった。
緑色で奇怪な布ではあったが、布だった。
そして彼らの体に、はっきりと見える点線があった。仕立て屋がパターンを切る前に付ける印のように。
*よし!見える!*
ゴブリンに向かって手を伸ばした——
【エラー】
【対象として選択できません】
【対象のレベルがユーザーの能力を超えています】
*何?*
必死にもう一度試した。メイスは俺の顔から数センチだった。
【エラー】
【対象として選択できません】
【レベル制限が有効です】
*だめだ!だめだだめだだめだ!!*
【エラー】
【対象として選択でき——】
【エラー】
【対象として選択——】
*くそったれ!!*
叫んだ。声ではなく、俺の存在のすべての繊維で。
*ここで死ぬわけにはいかない!!*
*切れと言ってるんだ!!*
*切れ切れ切れ切れ切れ!!*
ウィンドウがより速く現れ始め、互いに重なり合った。
【対象として選択できま……】
【対象とし……】
【対象!%/】
【エ……ラー】
【エラ34!%&】
【!@#$%】
【■■■■■】
俺の心が現実の純粋な否定で吠えた。ここで死ぬことへの絶対的な拒絶で。
*不可能かどうかなんて関係ない!!*
*それでも切ってやる!!*
そして——
*ガシャン*
水晶のような音。千のガラス窓が同時に割れるような。
エラーウィンドウが光の破片となって爆発し、空中に消えた。
【…】
沈黙。
これ以上の警告はなかった。これ以上の警告はなかった。これ以上の確認もなかった。
まるで宇宙が単に……受け入れたかのように。
鼻から何か熱いものが滴り始めた。
血だ。
しかし考える時間はなかった。
なぜならはっきりと見えたからだ。
点線。完璧に見える。
どこを切るかを正確に示している。
右手が本能的に動いた。
ナイフは持っていなかった。
必要なかった。
空中で斜めのジェスチャーをした——
そして世界が従った。
*スラッシュ*
奇妙な音。金属が肉を切る音ではなかった。むしろはさみが布を切る音のような。
ゴブリンが攻撃の途中で止まった。
その表情が悪意から混乱に変わった。
それから、ただ……分離した。
血まみれではなかった。爆発的でもなかった。
きれいだった。
上半身が横に滑り、「切った」斜めのラインで下半身から分離した。一瞬、両方の部分が浮いていた。まるで宇宙が起こったことを処理しているかのように。
それから落ちた。
他の二体のゴブリンが凍りつき、仲間の残骸を何か恐怖に近いもので見つめていた。
俺も見つめていた。何をしたのか信じられなかった。
鼻はまだ出血していた。上唇を流れる血が温かく金属的だった。
*何を……何をしたんだ?*
しかし時間はなかった。
残りの二体のゴブリンが怒りと恐怖が混ざった叫びを上げた。一体は短剣を持って突進してきた。もう一体は横に走り、側面から来ようとした。
今回は、点線が抵抗なく現れた。
システムはもう俺を止めなかった。
何かを壊したのだ。何か根本的なルールを。
そして今……切れる。
左手を水平の弧で動かした——
*スラッシュ*
短剣を持ったゴブリンが垂直に分離した。二つの完璧な半分が反対方向に落ちた。
最後のゴブリンが立ち止まり、その黄色い目が絶対的な恐怖で大きく開いた。
振り返って逃げようとした——
両手をXの字に動かした——
*スラッシュ スラッシュ*
ゴブリンが四つの完璧なセクションに分離し、バラバラにされたパズルのピースのように落ちた。
沈黙。
森が完全に静かになった。
鳥はさえずるのをやめた。風が止んだ。
三体のゴブリンの残骸の間に立ち、喘ぎ、手を震わせ、鼻から血を滴らせている俺だけ。
*やった。*
*システムを壊した。*
*そして生き延びた。*
---
*何を……何をしたんだ?*
手を見た。激しく震えていた。
鼻から血が滴り、新しいリネンシャツを汚していた。しかし今、頬を流れる温かい何かも感じた。
顔に触れた。
指が赤く染まった。
目も……出血していた。
*何……?*
世界が突然傾いた。
膝をついて、喘いだ。頭の中で何かが……壊れていた?いや。何かが……開いていた?
まるで心の中に閉じられたドアがあって、突然割れたかのようだった。亀裂が広がり、存在してはいけない場所から光が漏れていた。
*痛い。*
物理的な痛みではなかった。もっと深いものだった。もっと根本的な。
まるで魂そのものが……
断片化している。
あるいは……
融合している?
はっきりと考えられなかった。血が鼻と目から流れ続けた。世界が回転した。
*できない……*
考えを終える前に、闇が俺を飲み込んだ。
---
目を開けたとき、太陽は空低くにあった。
どれくらい……?何時間?
ゆっくりと座った。すべてが痛かったが、それは遠い痛みで、まるで他の誰かに起こっているかのようだった。
顔に触れた。血は乾いて、鼻の周りと目の下にかさぶたを作っていた。
*かなり……出血した。*
近くの小川まで這って行き、水の上に身を乗り出した。俺の反射が俺を見返した。
乱れた深紅色の髪。汚れた顔。暗い涙のように肌を印す乾いた血。
しかし最も奇妙だったのは……
*俺か?*
両手を冷たい水に突っ込み、血が消えるまで激しく顔をこすった。それから再び反射を見た。
同じ顔。同じ淡いオレンジ色の目。
しかし何かが違った。
*あれは俺だ*と俺の一部が思った。
*俺か?*と別の部分が思った。
まるで心の中で二つの声が同時に話しているかのようだった。二つの視点が重なり合っている。
一つはこの顔を十五年間見てきたから知っていた。
もう一つは初めて見るかのように見ていた。
目を閉じ、思考を整理しようとした。
そして記憶が襲ってきた。
急流としてではなかった。むしろゆっくりと絡み合い始める二つの別々の流れのように。
*別の世界。コンクリートとガラスの建物。火なしで輝く光。通りを一人で動く機械。手の中の小さな箱に世界のすべての知識が入っている……*
*コンピューター?電話?インターネット?*
言葉が心に現れた。馴染みがあるが奇妙だった。知っているけど……どうやって?
*そこに住んでいたから。*
いや。
*俺がそこに住んでいた。*
頭に手を当て、頭蓋骨を押さえつけるようにして、すべてを所定の位置に保とうとした。
「これは……狂ってる」と声に出してつぶやいた。
そして声が……違って聞こえた。
音程ではない。抑揚で。
以前はズーヴェラン邸で教えられたように、各言葉を測りながら注意深く話していた。正式。礼儀正しい。よそよそしい。
しかし今、言葉は自然に出た。直接的。常に使っていた礼儀正しい貴族の層なしに。
「一体何が起こってるんだ?」と言い、その言葉が奇妙に解放的に感じた。
*以前はこんなふうに罵ったことがなかった。*
*あるいは……別の人生ではあった。*
記憶は融合し続けた。
俺、イヤホンをつけて夜の通りを歩いている。
俺、ズーヴェラン邸の図書館で勉強している。
俺、まばゆい光の下で車にひかれて死ぬ。
俺、サンスパイア大聖堂で洗礼を受ける。
俺、目に銀河を持つ少女に抱かれる。
*女神。*
その記憶が最も鮮明だった。
鈴のような笑い声。宇宙が生まれ死ぬのを示す目。粘土のように俺の魂で遊ぶ手。
*「あなたの手先の器用さが気に入ったわ〜それに物を縫うのを楽しんでいるのね」*
彼女の声が心に響いた。楽しく無邪気に。
しかしその口調には何かもっとあった。何かいたずらっぽい。何が起こるか正確に知っている何か。
*「いいショーを見せてね〜」*
笑った。短く、ほとんどヒステリックな笑い。
彼女は知っていた。
最初から、これが起こることを知っていた。
世界が「役立たず」と呼ぶスキルをくれた。貴族の笑いものにされるスキル。追放の原因となるスキル。
しかし何かもっとくれた。
ルールを破る能力。
不可能を否定する。
世界そのものの制限を切り抜ける。
「いたずらな女神め」とつぶやいたが、顔には笑みがあった。
ゆっくりと立ち上がり、まだ二つのアイデンティティの融合を処理していた。
この世界に十五年間生きてきた追放された貴族。
そして車の車輪の下で死んだ別の世界の若い大人。
今、両方が……俺だった。
完全に俺。
「オーケー」と声に出して言い、音を試した。その言葉は舌の上で奇妙に感じた——ここには存在しない別の世界の言葉。「オーケー。今分かった」
まだ切ったところに散らばっているゴブリンの残骸を見た。
「重要なレベルなんてない。破れない制限なんてない」
まだ十個の治癒ハーブが入った無傷のバッグがある場所に歩いた。
「世界が『不可能』と言うなら……」
それを拾い、肩にかけた。
「俺は……それでも可能にするだけだ」
眠っている間に現れた半透明のウィンドウを見た。
【名前:ネイサン】
【レベル:2】
【EXP:150/300】
【スキル:縫製】
▸ 切る [使用可能]
▸ 測る [使用可能]
▸ 縫う [未試験]
ゆっくりとした笑みが顔に広がった。
教養ある貴族の笑みではなかった。
自分がプレイしているゲームに気づいた誰かの笑みだった。
そしてすべてのルールを破る方法の。
「彼女が望むショーをあげよう、な?」といたずらな女神が見ているであろう空に向かって言った。
トロムウッドに向かって歩き始めた。俺の歩みはこれまでになく確かだった。
追放された貴族はあの森で死んだ。
そしてその代わりに何か新しいものが目覚めた。




