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はい終わり……そう思ったら

「融資を全額引き上げる」

その一言で。

うちの飲食グループに激震が走った。


うちの飲食グループにもっとも融資を行ってくれている地方貴族が、突然の通達を行ってきた。

事情を聞くと、

農作物の病虫害の影響で、税収が8割減。

融資を引きあげざる得なくなったということだった。


ここで融資を引きあげられると確実に倒産だ。


頼りにしていた右腕に相談すると、

「リラさん。そりゃ、さすがにもう終わりですよ」

と言われた。


他の融資元にも相談した。

しかし

「少しぐらいであれば、融通は効くが、さすがにムリだ」

と難色を示された。


自己資金でなく、借入金で回していると、自分達にまるで関係のない突発的な事故で、経営危機に瀕することがある。

まさにこれだ。


俺はいろんな人に話を聞いて回った。

ほとんどが同じ答え。

「自分の取り分を確保して潰すことだな」

だった。


俺は絶望して、部屋に閉じこもっていた。


(こんこんこん)

ノックする音がする。

俺は扉を開ける。

そこには心配そうなリリーがいた。

「スイートポテト持ってきたの」

とリリーは笑顔で言った。

でも目は悲しそうだった。

あぁ心配をかけてしまったのか。

「心配かけたな」

と俺は言った。

「心配なんてしないよ。だってリラはいつだって強いもん」

とリリーは言った。

「ありがとう。でも今回に限っては打つ手なしだよ」

と俺は言った。


「そっか……。お店とかはどうなるの?」

とリリーは言った。


「閉めることしかできないな」

と俺は言った。


「どうせ閉めるなら、売っちゃえば?」

とリリーは言った。


「はっ。何だって……」

と俺は言った。


「どうせ閉めるなら、売っちゃえばって私は言ったの」

とリリーは言った。


俺は考えた。そんなことができるのか?

俺はロイを呼んだ。


「ロイ。リリーは、どうせ店を閉めるなら、売っちゃえばって言うんだが、どう思う」

と俺は尋ねた。


ロイは考え込んでいる。

「か……かのうかも……可能かもしれませんね」

とロイは言った。


「可能なのか」

と俺は言った。


「そうですね。法的には問題はございません。あとは買い手ですが、ちょっとお待ちを」

といい、下に降りて行った。


もし可能であれば、局面は変わる。

いけるのか。

どうなんだ。


「以前にうちのメイドがとある貴族に”同じような店をするのに、ロイ様の指南は得られないか”と聞かれたそうです。その時は”わかりません。ご本人にお尋ねください”と言ったそうですが、そのような方であれば、もしかして」

とロイは言った。


「ちょっと待てよ。それなら、ある程度の数を売れば、融資の問題は解消できるのでは」

と俺は言った。


「そうですね。売値にもよりますが、適切な価格で売れれば、少ない損害で問題は解消できます」

とロイは言った。


「リリーありがとう。これで局面は変わるかもしれない。君ならどの店を売る」

と俺は尋ねた。


「そうね。どの店を売るかについてはわからないけど、売るのなら、その地域の領主様や有力商人などがいいんじゃないかな」

とリリーは言った。


「理由を聞いてもいいかい?」

と俺は尋ねた。


「理由は聞かないで……、

勘よ」

とリリーは言った。


「勘か……」

と俺は言った。


「しかし、その勘。なかなか筋が良いかもしれないですよ。

その地域の領主や有力商人であれば、店の視察に気軽に訪れることができる。

それにその地域の農産物などの仕入れにも顔が利くから、我々より利益が得れるかもしれない。それに領主や有力商人には跡取り以外にも子息が何人もいますから、その子たちにやらせるという事も考えるかもしれません。

それにまるで一からの商売だと、大変ですが、店も形になっているし、あとは好みにテコ入れすればいいだけの話なら、乗りやすいかもしれませんね」

とロイは言った。


「おお。そうか。リリーやっぱり君はスゴイよ。あとはどの店を売るかだな」

と俺は言った。


「リラ。さっきのロイの理屈で考えると、どの店を売るかというより、どの店が一番管理がしにくいか?で考えたほうがいいんじゃない」

とリリーは言った。


「たしかにそうだ。うち的には効率よく店回りをできない所でも、その地域の領主様や有力商人なら、効率よく店を回れる。リリー。これも名案だぞ」

と俺は言った。


俺は、さっそく効率よく店周りができない所を10か所選び出した。

それぞれ地方都市で、売り上げは悪くはないが、様々な事情で店の管理が難しく、利益を出すのは難しかった。

俺は翌日から、その10か所の売却に動いた。

するとロイの予想通り、子息にやらせるという名目で簡単に売却が進んだ。

予想では10か所売って、ようやく融資を返せる額だったが、5か所売った時点で目的を達成できた。

本来はここでやめても良かったのだが、残りの店舗も利益を出すのが難しいとの判断で、10か所売却することになった。

結果的に目的の倍の金額が集った。


俺は再びリリーとロイを集めて、話をする。

「ありがとう。想像の倍の金額が集った。半分は借金返済に使ったが、半分はどうしたらいいと思う」

と尋ねた。


「リラが前に、借金をすると自由がなくなると言っていたけど、融資元で、もっともあなたの自由を奪うところから、優先的に返していけば?」

とリリーは言った。


「なるほど、一理あるな。ロイはどう思う」

と俺は尋ねた。


「リリーさんの案が最善かと」

とロイは言った。


「わかった。そうしよう」

と俺は言った。

融資元のなかで、もっとも口うるさい所から優先的に完済していった。

結局完済したのは3か所。

気持ちがすっきりするくらいに思っていたが、想像以上にコストが浮いた。

融資元の縁故採用だった店長を3名解雇し、同店の若手の実力者を採用。

それぞれの店舗で約1.2倍の利益率アップにつながった。

縁故採用だった店長が、業者にキックバックを請求していたらしく、結果的に割高なコストになっていたようだ。

それ以外にも、融資元の広告代理店の広告費など余計なコストがずいぶん減った。



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