5話 ・・・何も・・ない
シウスは
どんな子供でしたか?
精神病連 中庭
シウス「・・・」
リリア「何をして過ごしていましたか?」
シウス「・・・
それを探す
必死に探す
・・・探してるんだけど
・・・あれ?
必死に探す
必死に探す
探して 探して 探して
探して 探して 探して
探して 探して 探して
リリア「・・・シウス?」
シウス「・・・
・・・何も・・ない
リリア「・・・ごめんなさい
・・・いま気づきました
罪のあまり
泣き出すリリア
リリア「・・・何も・・ないですよね」
シウス「・・・」
リリア「・・・私だって
・・・何もないのに
・・・こんなこと
・・・聞くなんて!!」
シウス「・・・」
黙って その鳴き声と
肩を震わせてすすり泣く声を聞く
シウス「・・・」
シウス「こんなこと言って
気を悪くしたら ごめん
俺だけじゃなかったんだ
何もない人間
リリア「・・・シウス?」
シウス「・・・ごめん」
リリア「私も
失礼なこと
言っていいですか?
私だけじゃなかったんだ
何もない人間
シウス「・・・リリア」
リリア「お互い
失礼なことを
言い合ってますね?」
自分には何もない
言葉にすると
それが おかしくて
二人は笑い出した
リリア「おかしいですね」
シウス「おかしいな」
リリア「今度
二人で出かけませんか?」
シウス「病院は?」
リリア「そんなの
抜け出せばいいじゃないですか?」
シウス「大胆だな」
リリア「そうしないと
一生
外を
味わえませんよ?
シウス「たしかに」
リリア「こんな
精神障害者だから
着飾った服とかメイク
そういうの
期待しないでくださいね?」
シウス「それはお互い様だよ?」
消灯の時間になる前に
二人は別れた
リリア「また 明日」
シウス「あぁ また明日」
手を振って別れる
リリア「・・・
また 明日か
リリア「こんな言葉
使う日が来るなんて
思わなかった
翌朝
病室を出て
いつもの
人の少ないフロアで過ごす
そうしてると
いつも
あの人はやって来て
いつもの
ぶきみな挨拶で
今日を告げて来る人が居る
リリア「おはようございます
今日もお互い死に損ないましたね?」
そして
俺は
いつも
こう返す
シウス「・・・
それは
挨拶として
どうなんだ?




