4話 いつも体調が悪いのが普通
朝 病室から出て
いつもの人の少ない
フロアの椅子に座る
その人は
やって来て
いつも
リリア「おはようございます
今日もお互い死に損ないましたね?」
こうやって
毎朝
今日を届けてくる
俺は こう返す
シウス「あいさつとして
それは どうなんだ?」
リリア「マンガとかなら
死んだら楽になれると
よく言いますが本当でしょうか?」
シウス「わからないよ
死んだ後に
その状況を
伝えに来た人は居ないのだから
もしかしたら
いま味わってる精神障害より
苦しいのかもしれないね」
リリア「それはイヤですね」
シウス「リリアは
障害名は何だ?」
リリア「さあ?
正確にはわかりません」
シウス「子供の頃から精神障害者なんだろ?
そんな つきあいの長い精神障害
名前くらい」
担当医が代わる度に
障害名も変わりますので
シウス「(・・・)」
リリア「正確にはわかりません」
シウス「・・・そこまで
一緒じゃなくていいよ」
リリア「え?」
シウス「朝だよ?
リリアは何をして過ごす?」
リリア「フフ」
シウス「何がおかしい?」
リリア「わかってるようで
わかってませんよね
自分のことって
貴方も
精神障害者でしょ?
リリア「”何をして過ごす?”
貴方がそれを言いますか?」
シウス「・・・あ
失言だった
精神障害者の俺たちが
何をして過ごす・・・
リリア「朝が来て夜が来るだけですよ?
私に何ができるんですか?」
シウス「・・・ごめん」
リリア「時間だけは
有り余るほどありますから
いじわるして貴方を困らせるのも
ヒマな時間を持て余すより
楽しいかもしれませんね?」
シウス「・・・だから・・ごめんって」
リリア「何を言ってるのですか?
私は感謝してるのですよ?
こうして
話す相手が居るだけ
楽しいですから
シウス「そうだな
何もないよりは」
何かがある
シウス「え?」
リリア「最近
そんな気がするのですけどね」
シウス「それって?」
リリア「もう
検査の時間なので
少し行ってきますね」
シウス「おぉ
がんばってな?」
リリア「フフ
がんばりようがないのですけどね」
検査が終わって出てくる
シウス「どうだった?」
リリア「・・・ストーカーですか?」
シウス「時間は
有り余るほどあるからな
それに
毎朝
ぶきみな挨拶してくる
リリアに言われたくない」
リリア「検査の結果は普通でした」
シウス「悪かったんだな?」
リリア「どうして?」
シウス「それが俺たちだろ?
”いつも体調が悪いのが普通”
だからな
シウス「俺たちは」
リリア「(・・・同じだ)」
リリア「・・・」
リリア「少し 中庭に出ませんか?」
中庭
リリア「暖かくなりましたね
もうすぐ春でしょうか」
シウス「そうだね
そして夏が来て秋が来て
冬になって
また春がやって来るだけだ」
リリア「夢がないね?」
シウス「・・・
・・・夢なんて
・・・持つだけ悲しいだけだろ?
シウス「季節が巡っても
精神障害者である
俺たちに何ができる?
春に花見は楽しめないし
夏に海で遊べない
秋に紅葉狩りできる
身体ではないし
冬に
雪遊びや
年末年始を
楽しむ感覚も
もはや
無くなってしまった」
シウス「季節が変わっても
精神障害者である
俺たちに何が変わる?」
リリア「同じだね 考える事」
シウスの手を握る
リリア「教えてください
シウスは
どんな子供でしたか?
シウス「・・・え」
リリア「何をして
過ごしましたか?




