13話 それは絶望ではない 一部の精神障害者のリアルの叫び
ホテルのテレビでの広告
「お金がなくて
食べる物にも困っています
あなたの寄付で助けてください」
ホテル ロビー
リリア「・・・
・・・フ~ン
翌日 夜
リリアの身体のことを考えて
金に物を言わせて
常にタクシー移動なのだが
リリアが外を歩きたいと言うので
夜道を歩いていた
適当に見つけたホテルで
一泊しようとしていたが
シウス「・・・あれ?」
リリア「どうしたの?」
シウス「・・・
・・・財布が・・ない
リリア「スリってやつかな?」
シウス「・・・20万くらい
・・・入ってたんだが」
リリア「カードってやつで
泊まれるんでしょ?」
ホテル
”ごめんなさい
うちは現金のみなんです”
シウス
リリア「・・・え?」
夜道
リリア「別に
野宿でもいいじゃ~ん」
シウス「・・・それって
・・・してもいいんだっけ?」
ごめんなさい!!
「・・・こんなに
・・・盗むつもりじゃ
・・・なかったんだ」
シウス「だれだ!?」
リリア「もしかして
スリをした人?」
ラャウ「・・・僕の名前はラャウ
・・・おねがいだ
・・・せめて
・・・一週間くらい
・・・食べていける
・・・お金を分けて?
リリア「・・・」
ラャウ「・・・お母さんも
・・・僕も
・・・食べる物がないんだ」
シウス「それくらいは」
そのあとは
どうするの?
ラャウ「・・・え?」
リリア「お金もなくなって
一週間後
そのあとは
どうするの?
ラャウ「・・・」
リリア「働こうとは
思わないの?」
ラャウ「・・・僕の年齢じゃ
・・・働くことは」
リリア「君 体格良いから
年齢ごまかせると思うよ?」
シウス「リリア!?」
ラャウ「そんなことしたら!」
リリア「・・・
この国のやり方に
殺されたい?
ラャウ「・・・」
リリア「ごめんね?
お姉さんね
君に同情できないんだ
ラャウ「・・・薄情だね」
リリア「だって君は
お金さえなんとかなれば
身体は健康だし
生きていけるんでしょ?
リリア「精神障害者の私は
たとえ大金持ちでも
地獄のような苦しみなんだ
ラャウ「・・・え」
リリア「・・・
それは絶望ではない
リリア「お金さえなんとかなれば
身体は健康で
生きていけるのなら
それは絶望ではない」
ラャウ「お姉さんに!
僕の苦しみの何が!?」
リリア「お姉さんわね
あと一年で
死んじゃうんだ
ラャウ「・・・え?」
リリア「精神障害者の苦しみ
余命一年
それに比べたら
それは絶望ではない
リリア「生きるためなら
なんでもできるでしょ?」
ラャウ「・・・でも
・・・僕の
・・・お母さんも
・・・精神障害者で
ラャウ「たとえ
・・・ごまかして
・・・働けても
・・・誰が
・・・母さんの
・・・面倒を」
リリア「それって
障害基礎年金
もらうことはできない?
ラャウ「なに それ?」
シウス「・・・これは」
俺たちはラャウに
障害基礎年金の仕組みを教えた
そして
ラャウの
お母さんは
充分に障害基礎年金を
もらえる条件が揃っていた
その日は
ラャウの家に
泊めてもらい
翌日 役所
ラャウ「・・・本当に
・・・これで
・・・お金がもらえるの?」
リリア「生きていくには
厳しい額だけどね」
ラャウ「それだって
0よりは
ぜんぜん良いよ!!」
リリア「他にも
貧困な家庭を
サポートしてくれる
何かがあるかも」
役所の人に相談した結果
サポートが受けられそうだ
リリア「これで
生きていけそう?」
ラャウ「・・・わからないけど
・・・食べる物に
・・・困らないから
ラャウ「・・・生きて
・・・いけるよ」
シウス「良かったな」
そして
ラャウに別れを告げて
俺たちは旅行の続きを再開した
リリア「ねえ シウス?
最低な人間に
思われたくないんだけど
私ね
貧困で苦しむ
広告を見るたびにね
醜い感情が現れるの
リリア「だって
あなたたちは
お金さえなんとかなれば
身体は健康で
すべて解決するのだから
リリア「私みたいに
大金を積まれても
地獄のような苦しみの
この身体は
どうすればいいの?
シウス「言いたいことは
わかる」
リリア「貧困で
無差別に広告で
”助けてください”と
見るたびに
・・・ごめんね?
・・・私も苦しい身体だから
・・・何も助けてあげられない
リリア「・・・でも
・・・お金さえ
・・・なんとかなれば
・・・救われるから
リリア「・・・私より
・・・ぜんぜん
・・・絶望じゃないよね?
リリア「・・・イヤだよね?
・・・こう思う人間なんて」
シウス「・・・
わかるよ?
リリア「・・・え?」
シウス「無差別に
”助けて”って
言われても
俺より
ぜんぜん
苦しくないじゃん?
シウス「そう思って
無差別に
”助けて”と
言われるのが嫌いだ
シウス「俺の方が
いや
俺たちの方が苦しい」
リリア「・・・
・・・ありがとうね?
・・・こんな醜い人間を
・・・かばってくれて
シウス「俺たち
精神障害者の一部が
そう思うのは
事実だと思う」
リリア「・・・そうだよね」
リリア「私たちは
どんなに大金を積まれても
どんなに食べる物で溢れてても
・・・この地獄のような身体は
・・・救われないんだ
リリア「身体は健康なんでしょ?
お金さえ なんとかなれば
救われるのだから
それは絶望ではない




