跡目争いはパンケーキを添えて
コメディのつもり、です。
うん。なんかもう、どーでもいいや~。
投げ出したくもなる。
うざったすぎて。
それ、いらんし。
要らない、と思ったのは、王位継承権だ。
もともと六番目の王子でいなくても問題ない。
異母姉である王女たちを含めれば、さらに問題なく王族を辞められるはずだ。
目の前の異母兄が、ほんとうざったい。
「どうかな?レイリアス」
「お断りします。そもそも僕はまだ13歳ですし」
「君の才能は把握しているよ。年齢など些細なことだろう、気にする必要はない」
にこにこといい募る、美形の異母兄。さすが王族、発声練習もしているから、声もよく通る美声だ。
八歳の年の差のせいか、気にする必要はないと軽く言ってくれるが。
いや、大事だと思うよ?職場の空気。年齢差って、話題にも関わるし。前世を鑑みれば確実に。
第一、面白くないだろう、平均年齢30歳以上の魔導師の中に、いきなり13歳の子どもが上司として来たら。
いくら王族、王子とはいえ。
しかも、やたらとプライド高い魔導師たちが揃っている魔塔の塔主とか。
うん、やっぱり父上にお願いして、留学しよう、そうしよう。
異母兄たちの王位争いに、巻き込まれるのはまっびらゴメンだ。
「僕にはまだ無理です、カイ兄上。このお話はなかったことに。それでは、ごちそうさまでした。これで失礼いたします」
お皿の上にあった果物もクリームもソースもしっかり完食して、返事を待たずに立ち上り一礼して、さっさと歩き出した。
うん、パンケーキは美味しかった。ふわふわで、あの薄さを出すのは難しいだろうに。味も軽めでお茶にはちょうどいい。さすが美食家のカイ兄上。
引き止められなかったし、今回は兄上としては様子見かな?
王城のカイ兄上の応接室から、自室に戻るため、王宮に向かう。
王城は王が政務をとるためのもの、あとは儀式のための大広間やら謁見室がある。
王宮は王の私生活の場で、妃や子ども達も王宮に部屋を与えられて暮らしている。
まだ成人していないオレは、王城には個人の部屋がない。
王子たちのための儀式用の控室はあるが、寛げる所ではないし、予定が無ければ閉まっているはずだ。
まずは王宮の自室に戻り、父である国王に手紙を出して、留学のことを頼まなければ。
国費での留学だから、それなりに手順が要るだろう。ふう。
母は子爵家の出で、側妃だ。
半年前、里帰りの許可が出て一緒について行った。
同母兄妹はいないから、ある意味一人っ子で。
そもそも野心のない母とその実家、辺境伯の分家の分家で、武力魔法が一番、の脳筋家系だ。
母が側妃になったのも、王宮の警護がメインだという話である。
実際、王妃さまや側妃さまたちとは仲が良く、母は父や妃たちの警護を喜んでやっている。
結果、おれ自身は、異母系の兄弟たちと、そこそこ仲は良い。正直助かっている。
で、スタンピードがあったんだよなー。母の里帰りの時に。
そこでやらかした。
盛大に魔法をぶっ放しました。だってやりたかったんだもん。せっかくのチート!!
その結果カイ兄上にバレて、お誘い受けてる感じです。あー、いらんわ。
カイ兄上は第三王子だ。王位継承争いをしているのは、上から二人、そして、それぞれ同腹の兄弟が味方についてるから、第一王子を推している第四王子、第二王子を推している第三王子と第五王子、で、兄弟のいない自分、第六王子のオレ。実力はどっちもどっち、派閥の勢力もどっちもどっちで、決まらないんだよなあ。ま、決めない父上が一番悪いと思うが。
決まれば後腐れ無く、けっこう上手くできると思うんだけどなあ。どっちも性格良いし。
おバカな内乱を起こすタイプじゃないし。
王宮に着くと、専属侍従のロタが待っていた。
「第四王子から、午後のお茶の誘いが届いております。」
「え?あー、そっちからもかー。行くしかないか」
ふう、とため息。さすがにこの状況では断れない。
話を聞いて、明確にどちらの陣営にも入らないことを伝えないと。
「お菓子は何かなあ。」
「レイリアス様がパンケーキをお好きなのは知られておりますから。おそらく」
「さっき食べてきた所だよ、カイ兄上の所で。別なのだといいけど」
おそらく張り合ってるから、パンケーキだろう、トッピングは変わるだろうけど。
どちらが美味しい?とか、聞かれたらヤダなあ。
ほんとに早く留学しよう、そうしよう。
パンケーキを嫌いになる前に。




