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修羅場目前OMG

OMG=Oh My God

 花蓮と友達になってから数時間後。


 ついに放課後の時間が訪れた。


 俺は和樹を単独で帰宅させる必要があった。


「ハクぅ~、一緒に帰ろーぜぇ!」


 伸びやかな口調で誘ってくるバカ、別名:和樹。


「悪い。放課後はちょっとやることがあるんだ。一人で帰ってくれないか?」


 本当は何もない。

 俺は和樹がしっかり花蓮の尻を引っ叩くのを見届けたいだけだった。

 後ろからこっそり見ててやるからな。


「えぇ~、じゃあ恵梨香は?」


「ごめんね。私もやることがあるの」


「まじかぁ! ちぇ、じゃあ仕方ないな」


 俺にも恵梨香にも断られた和樹は、ぶつくさ言いながら帰る支度を始めた。

 時間は3時15分。原作だと、背景の絵に映った壁掛け時計の時刻は確か3時30分を指していたはずだ。


 まだ和樹を行かせるには早すぎる。


「んじゃ、一人で帰るわ」


「ま、待て! 和樹、あと15分くらい雑談しないか?」


「え……用事はいいのかよ?」


「あー、それは少し遅らせてもいいやつだから。とにかく座れよ」


 俺は和樹を引き留めることに成功した。

 とりあえず一安心だ。


 あとはテキトーに雑談をして時間を稼ごう。


「和樹、最近調子はどうだ?」


「調子はいいぜ。ぜっこーちょーだ! この前のカラオケでも俺の歌に酔いしれただろ? あれ以来なんか歌い足りなくてさぁ、また行かね?」


「時間が合えばな」


「やったぜぇ! ハクも俺のラブソング聞きたいだろ?」


「んー、まあな」


「だろぉ!? うひぃひぃひっひっ……今度はもっとムズイやつに挑戦しようかなぁ!」


 雑な相槌を打ってるだけなのに、和樹は一人で話を広げてノリノリになってくれる。

 純真でいいやつなんだよな、バカだけど。


「まあ、喉壊す可能性もあるからカラオケは程々にしようぜ」


「おう! ってか、あれ? 恵梨香はなにしてんだ? 用事はいいのか?」


 和樹は俺の背後に立つ恵梨香に目を向けた。


 実は俺も恵梨香の存在に気づいていたが、怖いからそれとなく無視していた。


「んー? 私の用事はハクくんと一緒に過ごすことだよっ! ね?」


 恵梨香は後ろから俺に抱きつくと、たわわな胸をこれでもかと押し付けてきた。

 予測だが恵梨香はHカップくらいあると思う。

 俺の頭をオパーイで挟み込めるくらいには大きい。


「……あははは……」


 オパーイに挟まれる俺は笑うしなかった。


 (ここは天国か……柔らか天国か? 俺は死ぬのか?)


 頭が真っ白になる。甘い匂いに柔らかな感触。


 控えめに言って最高だ。


「ハクぅ、お前ってば随分恵梨香に気に入られたんだな。俺も昔は恵梨香に抱きつかれてたんだぜ?」


「和樹、あれは子供の頃の話でしょ? 今の私は大人のスキンシップを楽しんでるのよ。ね、ハクくん?」


「う、うん、そだねー」


「触りたくなったらいつでもいいからね? 私はそういう経験ないけど、ハクくんのためならなんだってしちゃうんだから!」


 こうして見ると、恵梨香はやっぱり可愛い。

 

 やはりそそられてしまうのも致し方ない。

 狂気のバッドエンドが約束されているから、絶対にコロッと流されてはいけないのだが……


 

「なあなあ、ハク」


「ん?」


 頭上の柔らかい感触に酔いしれていると、和樹が教室の外を指さしていた。


「あの子、お前のこと探してるみたいだぞ? 友達か? 知らない女子だけど」


「——あの、朝霧ハクさんはどちらに……?」


 そこにはなんと、北条花蓮がいた。


 彼女は慣れない様子で教室の中を見回しており、オパーイの影に隠れる俺のことは見えていない様子だった。


 ただ、それは束の間に過ぎない。


 ほんの10秒もあれば花蓮は俺のこと見つけ出し、静かな足取りでこちらへ向かってきた。


 OMG!

オーマイガー

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