魔界六
軍隊に入ってから時折こういう死を覚悟する場面はある。
初めて魔獣と戦ったとき。魔獣だげじゃない、国と争ったときもそうだ。
こういう死というのはいつになったて慣れない。最近は魔法技術が発達して戦死することがほとんど無くなったってのも理由の一つだろう。
眼前に分かりやすく死が迫ってくる。
ここで俺は終わるのか。横のいるユウキは、魔力を限界まで高めている。
そうだよな。最後まで足掻いてみせるか。
2人で魔力を高め攻撃に備える。っとその時、敵が急に寝始めたのだ。
「終了〜」
敵の後ろから、黒髪でスーツを着た敵?が現れた。
「帰りが遅いから何してんのかと思ったら、軍人さんと遊んでるなんてビックリだよ〜」
俺とユウキは身構える。
「そんなに怖い顔すんなって、今回は見逃すよ。まだその時じゃないからね」
「そこのガキ共は、そっちにあげる。もういらないらしいから」
「じゃあ、さようなら」
「おい!逃げられると思うなよ!」
「班長!」
俺達の班が助けに来てくれた。
「いいや、帰る」
地面から魔法陣が出て来て2人はそこに飲み込まれて行った。
「大丈夫か?」
「はい」
「もう直ぐ帰隊時間だ、話しは基地に帰ってからだ」
確保した一般人と俺たちは基地に帰隊した。任務であるキャンプ地の設営は完了していた。青年とユウキはそのまま病院へ行き、俺は今回のことを報告しに班長と一緒にミシマ隊長の元へと向かった。
コンコン
「ミツイ一等魔曹入ります」
「入れ」
「今回の作戦でカイト一等魔兵から報告です。」
「カイト、報告」
「はい」
俺は今回あったことを全て話した。
「なるほど、不思議な格好した青年達に、人型の魔獣に魔王か」
「はい、奴らは複数で行動していて、魔王と言われる者から指示を受けて行動していると思われます。」
「それと青年達ですが、全員魔力を持っています。不思議なことに扱いは全くできませんが」
「どれも分からないことだらけだな、だが1番厄介なのが統率の取れた魔獣か」
群れとしての魔獣よりも軍としての魔獣、しかも魔力量も向こうの方が数段上。今の軍隊じゃあどうすることもできない。
少しの沈黙の後、ミシマ隊長が口を開く
「発見の記録が無いということは、数が少ないか、こっちまで出てこれない理由があるのかいずれにせよ、まだ敵も我々とやり合う程準備が整ってないと見た」
「魔界には、古い建造物などがまだ残ってる箇所がある、少し深い所だが、今の技術ならいけるはずだ。怪しい所をピックアップして、調べさせよう。」
「そしてこれより人型の魔獣を魔人と総称するように、任務の通達はこちらから行う。それと魔人の危険度についてもだ」
「後、ユウキとカイト一等魔兵については、青年達のケアに行ってくれ、知ってる人がいれば彼らも心強いだろう」
「班の編成については作戦変更の為再度組み直す。」
「以上、質問は?」
「無し」
「そうだ、カイト一等魔兵、明日でいいから魔獣研究所へ顔を出してくれ、研究者が魔人のことについて話を聞きたいそうだ」
「了解です」
隊長室を出て、装備を外し、シャワーを浴びて、ユウキの見舞いに行き、隊長室での出来事を話す。元気そうでよかった。あの時何故生きてたかは本人にもわからないらしい。凄い蹴りもらってたのに。
「次あったら必ず倒します」
ユウキが強い目で言う。折れてなかった。
そして明日の話し少し談笑をして病院を後にする