アリシアの憂鬱
このところアリシア王女殿下を悩ませているのがキーファー・ラムゼイという男である。
考えてみれば失礼な話だ。
見合いの席で自分の関係した女の話ばかりする。
それも2回連続で!
2回も呼んだのはキーファーだけなのに!
酷い奴だ!
でも、関係した女の話を強請ったのは自分だった。
是非にと迫ったのだ。
酷い王女様である。
自分は酷い王女様でキーファーは酷い奴。
お似合いではないか?
ダメだダメだ!
あの酷い奴は今夜もどこかで淑女を抱いているに違いない!
愛を囁きもしないで!
愛を囁けばいいのか?顔も知らない淑女に!?
そんなのダメに決まっている!!!
あれ、何がダメなんだっけ?
♡♡♡♡♡
分かりやすく恋にお悩み中の王女殿下を見守りながらお付きの侍女と近衛 (女性)が相談する。
ラムゼイ次期侯爵は愛らしい王女殿下の降嫁先に相応しいか。
悪くない。
そう、思っていたほど悪い男ではなかった。
それまでの令息たちが酷すぎたのもあるが、女性にはとても優しい男であることは間違いない。
とても優しい、度が過ぎるほどに優しい、あれなら自分にも優しくして欲しいかも…
良いところがそのまま悪いところでもある。
これは王女殿下でなくても悩むだろうとご同情申し上げるのであった。