連鎖する混乱
１００ユニークありがとうございます！
これからも精進して参ります！
ASCOFに乗ってみると、案外動かせるものだ。
ただ━━━
「これ、ちゃんとプログラム組んでないな……？」
乗っていれば分かる。明らかにASCOFの動きがなんとなくぎこちないのだ。
多分、骨折している人間の方がちゃんと歩けると思う。
そんな時に、一つの問題が起きた。
”ドスンッ”
何かが落ちた音がした。
そしてその音とほぼ同時に━━━
”ピーッピーッピーッ”
ASCOF内で警告音が鳴り響いた。
「わっ、何何！？ どうしたどうした！？」
何が落ちたのかと思い、ASCOFの頭を下に向けた。そこには純白のパーツが落ちている。
それを見た瞬間、この機体の状態を思い出した。
「……まだこれ、装甲固定してないじゃん……」
思った矢先、
”ドスンッ”
パーツの落ちた音が。
急がないと、隕石よりも先にASCOFが墜ちてしまう。
アサミの乗るASCOFが、＜イカロス＞の街中をぎこちない動きで走っていった。
イカロス軍事司令部は、混乱が増していた。
何故か？
街中を謎のASCOFがぎこちない動きでかけているからである。
それは見たピーター・ウィッグネンは、意外にも冷静でいることができた。
「おやおや、やはりイナバさんは乗りますか、ASCOFに……にしても、あのプログラムでよく動けるものだ」
初心者でも３０分で作れるようなプログラムしか、あの純白のASCOFには入れていないはずである。
その事実を理解しながらも、ピーターは一つの表情を顔に浮かべた。
笑みである。
ピーターは、ニヤケが止まらなかった。
「いやはや、これは良い鉱脈を発見したかもしれませんねぇ……」
それはそうと、だ。
あの純白のASCOFを放置するわけにもいかない。
ピーターはヘッドマイクに語りかけた。
「プロスル大尉。例のASCOFが依頼人に勝手に乗っ取られました」
「はぁ！？」
「ですので、取り返してください」
「大丈夫です。すぐに鉢合わせると思います」
「いやいや、そんなのわかんな━━━━━あ」
テイムは目の前に映るものを目にし、言葉を切った。
すると、横の情報員が報告する。
「バーストタイガー、謎のASCOFと接触！！」
ピーターはその報告を聞き、軽い笑みをこぼした。
（……やはり、兎と虎は惹かれ合う運命、か……）
全てはピーターの、計画通りである。
目の前に、赤と金で彩られた、少し大きいASCOFがいる。
アサミの背中に、冷や汗が垂れた。
（ど、どうしよう……）
通信チャンネルのスイッチを全部にONにし、話しかけた。
「わ、私に抵抗の意思はありません……！！ただ、あの隕石を止めようとしているだけです！」
…隕石？
隕石というワードに首をかしげつつも、目の前の純白のASCOFは頭上に跳んだ。
「ッ、はっ、速ァッ！」
アサミはASCOFの中で叫ぶ。
”キィィィィィィィッッ”
ブースターの回転数が他のASCOFよりも速すぎて、最早、音が違う。
「なっ、どこに行くんだ！？あのASCOF！！」
下から見上げた純白のASCOFは、まるで白い雷のように、一瞬見えた気がした。幻想的にすら見えるその機体は、人類の殺戮兵器である。
純白のASCOF＝アサミの乗っている機体 （名称不明）。
赤と金のASCOF＝テイムの乗っている機体 （バーストタイガー）。
