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<エキドナ>強襲作戦 其の十二

 モスマンは、ラウンド2という言葉から、この緊張感がまた続くのかと思うと、少し吐き気を覚える。

 しかし、お互いの心中を理解し、敵の考えを理解し、そして最終的には敵の作戦をも互いに理解し合った仲となってしまったのだ。

 つまり、お互いに手の内は知れ過ぎている、ということだ。

 だからこそ、一旦、体制を立て直す必要がある。


「……一旦体制を立て直すぞ。作戦を建て直さないといけない」


「し、しかし、モスマン中尉、敵が作戦を建て直す時間をくれるでしょうか?」


「あぁ、くれるさ。なんたって、敵は、面白い戦いを望んでるだろうからな」


 そう、ナタリーを取り戻す時にヘイブンに近づいた時、一瞬だが、ヘイブン・アローという男には何か戦いを楽しんでいるような雰囲気を感じたのだ。

 お互いの国の命運がかかった戦いに。

 だからこそ、作戦の考慮の隙を与えてくれると、モスマンだけが感じ取ったのだ。

 実際、この話し合いの中、敵は二人もいるのに誰一人襲おうとしてこない。

 敵の気が変わらぬうちに、作戦会議するなら今だ。




 3分が経った。

 ヘイブンはもう、我慢の限界だった。


「あああああああああああ、兄貴!もう攻撃しようぜ!!」


「はぁ……お前がまだ攻撃しちゃだめだって言ったんだろうが。━━気が変わったなら、とっととやるぞ」


 会話の最中だった。

 突然、敵の7機いるナイトモスキートの内、2機が、一機は右に、一機は左に移動しだした。それも猛烈な速さで。

 しかも更に二機が真っ直ぐ、ヘイルに対して猛突進してきたのだ。


「おい、ヘイブン、気をつけろ!敵は既に作戦を始めているッ!!」


「んなことは分かってるよ、兄貴━━」


 ヘイブンは笑いながらコントロールマウスを押し込もうとして、その直前で自らの身体に急ブレーキをかけた。

 目の前に、見覚えのある(・・・・・・)ナイトモスキートが突如現れたのだ。


「確か━━モスマン、とか言ったか。サシ(・・)で俺とやろうとは、いい度胸じゃねぇか」


「テメェはァ、ニックとデイレヘルを()ったんだ……」


「……は?」


 通信から流れてきたモスマンという男の声からは、ヘイブンに対する怒りや憎しみばかり汲み取ることができた。

 まさか、先程、ナタリーとか言う女を助ける瞬間、適当に堕とした二つの機体、その怒りを敵のかたきとして今更ここで発散させに来たのか。

 通信で聞いた声と先程までのモスマンという男の冷静な対処が全くもって別人である。


「……お前、そんなやつだったっけ?」


「うるせぇ!!テメェを殺すまで俺はここをどかねぇぞ!」


 そう言ってナイトモスキートのヒート・スピアーを振り回す。

 間合いとしては当たってもおかしくない距離ではあるが、無闇矢鱈に振り回して当たるわけもないのだ。


(まさか、それを理解してねぇとは言わねぇだろうなぁ?)


 ヘイブンは、ただひたすらに躱し続ける。

 モスマンはこの光景に、作戦が上手く行きすぎていて笑いを堪えるので精一杯であった。

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