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<エキドナ>強襲作戦 其の八

 ガァルとバンディックが激しい戦いを繰り広げている頃、ナイトモスキート隊では━━


 生き残ったナイトモスキートはバンディックを含めないと合計で九機になる。

 元は15機もいたのに、ここまで半数程の犠牲が出てしまうとは、想定外にも程があるというものだ。

 しかし、生き残った九機のナイトモスキート達の目の前には、<エキドナ>から出てきた機体が二機、目の前に立ちはだかっている。

 一機は黒い機体、所々に白もあるが、ベースが黒で、横腹が偶に白くなっていると言うだけだ。

 逆にもう一機は、その黒い機体のカラーリングを反転させたような機体で、黒い部分が白に、白い部分が黒になっている。


「俺の名はヘイブン・アロー。白いヴァリアブルピッグ、『ヴァリアブルピッグ・ブラン』を駆る男だ!」


 この場にいるすべての機体に、活発な男の声が聞こえる。

 年齢にして15〜6だろうか。


「……俺の名前はヘイル・アロー。黒いヴァリアブルピッグ、『ヴァリアブルピッグ・ノアール』のパイロットだ」


 逆に先程のヘイブンとは打って変わって、静かで寡黙そうな男の声が響く。

 やはりこちらも、年齢はさほど高くないようだ。


 しかし、こうしてわざわざ名乗ってくるということは、自分の腕によほど自身があるということなのだろうか。

 逆に考えて、<アポロン>(こちら)は15機もいるのに、<エキドナ>(むこう)は三機しかASCOF(アスコフ)を出撃させていない。

 元々三機しかASCOF(アスコフ)がいないのであれば納得できるが、それにしても一人ひとりの態度の大きさから、よほど強いことが分かる。

 これはナイトモスキート隊、全員の認識であり考えであった。


 しかし、そんなとき、ナイトモスキート隊のスピーカーから、男の声が流れてくる。


「……すいません、一ついいですか?」


 この男の声はナイトモスキート隊の内の一人だ。


「バンディック少佐がこの場にいないですが、その場合、誰がこの隊の指揮権を取るのでしょうか?やはりここは、この中で最も階級が高い、モスマン中尉が指揮権を執るべきだと思うのですが」


 この提案に、モスマン以外の全員が賛成した。

 モスマンは、全員、こんな状況で指揮権などいらないという気持ちを理解している。

 だからこそ、自分が指揮権を執るしかないと分かっていた。


「━━あぁ、分かった。モスマン・ファールがたった今から、一時的にこの部隊の指揮を執る!━━しかし、一つ理解して欲しい。この隊の最低階級は准尉だ。全員の階級は違えど、差はない。だから、すべてを俺に任せるのではなく、全員が力を発揮して戦わなければならないということを覚えておいてもらいたい」


 この場にいる殆どが、唾をゴクリと鳴らせた。

 意識が高まったのである。

 このモスマン・ファールという男、少し前まで教師をしていたことがある。

 だからこそ、複数をまとめるのがうまいし、何より『協力』という言葉に強い説得力がそのまま生まれるのである。


「よし、では一同、戦闘開始だ!」


 モスマンの声が全ナイトモスキートのコックピットに響き渡った。

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