<エキドナ>強襲作戦 其の七
「てめぇ、秘策とか言ってたよなぁ?だったら俺にもあるぜ?とっておきの秘策がなァ!」
バンディックはガァルを圧倒する勢いで言葉を放った。
瞬間、ヒート・ランスが真ん中から真っ二つに割れた。
ヴァリアブルピッグMK3はヒート・ランスの形が変わったことにより、ヒート・ソードごと体制が崩れる。
(割れた!?ランスが二つに割れた!?どういう事だ!?何が起こった!?そんなギミックがあるなんて聞いてないぞ!?)
ガァルは動揺を隠すことができないが、ここで行動できなくてはそのまま二つに割れたヒート・ランスにぶん殴られて死んでしまう。
ガァルはコントロールマウスを思いっきり後ろに引っ張り、ヴァリアブルピッグMK3を全力で後退させた。
「やるなァ!何なんだ?それは!」
「━━これか?これはヒート・ランスに冷却装置を付けただけのヒート・ランスじゃねえんだよ。これは、冷却装置を二つ組み込み、分離機構を仕込んだ、ヒート・ランス・カスタムだよ」
「ヒート・ランスのくせに冷却装置とは……。なるほどなァ」
ガァルは思わず<アポロン>と<クシナダ>の技術に感心してしまった。しかし、感心している状態ではないのは無論、ここからどう切り抜けるのかも分からない。
ただ、この国の命運がお互いかかった状況、手を抜いて戦うわけにも行かない。
「二刀流ならぬ二槍流!
天と地ならぬ熱と氷!
矛と盾ならぬ矛と矛!!」
ガァルはバンディックのナイトモスキートに突っ込んだ。
攻撃すれば、倒せる確率がある。逆に攻撃しなければ、勝てる確率はゼロになる。
ならば、ガァル・アル・ロイヤルという男は戦うという選択肢を取る。
そしてバンディックはその戦いという選択肢に付き合わざるを得ない。
「行くぞッ!青年よッ!!」
「勝手にしろ!お前をこの宇宙に葬ってやるッ!!」
先に仕掛けたのはガァルだった。
ヴァリアブルピッグMK3が急激に近づいてヒート・ソードを二つ同時にナイトモスキートに叩き込む。先手必勝である。━━と、ガァルは考えていたがそれは間違いである。
熱と氷は反発する。
一見、熱のほうが強そうに見えても、この状況では、そうとも言い切れない。
この場合、ガァルは冷却装置の恐ろしさを知らなかった。
バンディックは指の速さを利用し、直ぐにガァルの攻撃に対応する。
二刀流と二槍流がぶつかり合う。
その瞬間、
”パキィィィンッ”
両者の耳に何かが割れた音が鳴り響く。
ガァルは何が起きたのかも分からず、逆にバンディックは静かな笑みを浮かべていた。
「バッ馬鹿なッ……!」
先に音を上げたのはガァルだった。
モニターに映るその光景に、驚かざるを得なかった。
ヴァリアブルピッグMK3が右腕で握っている方のヒート・ソードが、刃の部分、つまり熱圧縮装置が作動している部分が根本から崩壊していた。
割れた、というのが正解だろうか。
「知ってるか?熱と氷は反発する。だが、もしお互いの力が巨大で強いものだったら?分かりやすく言えば、熱で真っ赤になるまで炙った金属に、でっけぇドライアイスぶちまけたらどうなる?━━まぁ見たことはねえが、多分だがそれは、ぶっ壊れるんじゃねえか?」
最大限に皮肉のこもった言い方で、バンディックはガァルに言い放った。
「━━ッ!!貴様ァ!!」




