思想
久々(n回目)の投稿です。
そして、評価ポイント合計が100を超えました!!
凄い!!
SFというジャンルでここまでこれたことに感謝しております。
これからも、よろしくおねがいします。
「話の本題に入りたいのですが」
ピーターのその言葉の雰囲気は、この場の静寂をより一層強くするほどの強烈さだった。
(来た……!)
アサミは心の中で呟いた。
そもそも話す予定だったであろう話題をついに持ちかけてきたのだ。
無駄な緊張が立ち込めるが、何も考えないようにして聞いた。
「それでアサミさん。あなたは、なんのために戦っているかと考えたことはありますか?」
「━━は?」
そんなことを聞くためにこんなところに呼んだのか?そんなことを聞くのであれば軍の施設の中でも立ち話で話せる内容だ。
中身があるようで無い。
そんな生産性のない話をピーターがこんな状況で聞くのだろうか。
「━━言い方を変えます。アサミさんは何故戦っているのですか?」
「何故って……そりゃ、この国に攻撃してくる敵を倒すため━━」
「本当にそれだけですか?」
ピーターは食い気味に聞いてきた。
なんだか、話の本質が分かってきた気がしないでもない。
ピーターは自分の言葉を更に紡いでいく。
まるで台本でも有るかのように会話が流れていく。
「本当に、<アポロン>の軍を倒すためだけですか?あなたは何を守りたいのですか?国ですか?<イカロス>の一般人ですか?それとも━━」
「………」
「大切な人ですか?」
「━━ッ!!」
思わずその言葉に顔が引きつってしまった。
何故かその言葉を聞いた時、脳裏にテイムの姿が浮かんできた。
━━何故かは分からないが。
「まぁ、それはいいのです。あなたが誰を想おうと、何を守ろうと思っているかなんて知ったことではありませんが……ですが、私としては、やはり戦争に勝って、国を平和にさせたいわけです」
「━━それで?」
「しかし、考えたこともありませんか?<イカロス>と<アポロン>の二つの国。その二つの国の思想の違いを」
「━━違い?」
話の本質が見えてきた。
別にアサミの話がしたいのではなかった。ピーターは、この戦争の話を、それについてどう思っているのかを、極端に言えば自分の話をしようとしているのだ。
「えぇ。本質的な違いです。<イカロス>とは、差別などによって立場的に弱くなってしまった人間たちが創った国家。対して<アポロン>とは、世界のムーブ・パレスを一つにまとめあげ、差別のない、平等な世界を創ろうとする国家です」
ピーターが、何を言いたいのかが完全に分かった気がした。
「おかしいと思いませんか?<イカロス>と<アポロン>。十分に仲良くできそうな国の思想同士じゃないですか。なのに何故?こんな戦争状態になってしまっているんでしょう?」
そんなのわからない。
そう言いたかったが、正直ここで言葉を挟める雰囲気では一切無かった。ピーターの口が閉じる事はもうしばらく無いのだろう。
アサミとマヒルは、ただただピーターの話を聞く他無かった。
「それは、二つの国が力を持ってしまったからなのですよ。お互いの国が、隠れてASCOFという兵器をこぞって創ってしまった。するとどうでしょう。力を持った国同士は争うしか無い。だって、他に力を持った国が怖いのだから」
「力を持ってしまったら、争わなきゃいけない決まりなんて無いです……」
「えぇ。勿論、そうですよ。ですが、現状、決まりがなくても戦争は実際に起きてしまっているのです」
「━━ッ!!」
何も言い返せなかった。
そもそもピーターがこんな話をしているのも何故だかわからないし、何よりなんの意図があってこんな話をしているのかもわからない。
しかし、そう思っていることもどうやらピーターには筒抜けだったらしい。
「まぁ、だから何だ、と思うかもしれませんが、私の考えを教えてあげましょう」
ただならぬ雰囲気が、ピーターの周りを包み込む。
ピーターは、これから何か爆弾を投下するんじゃないかと不安になってきた。




