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並べられる、料理と言葉

何週間ぶりの投稿でしょうか。

ブックマークを外していない人達には感謝しか無いです。

それどころか、休んでいた期間に一気読みしてくれる方やブックマークをしてくれる人がいるので、ありがたい限りです。

 店内に入ると、カウンターに負けずとも劣らない、いや、むしろカウンターの三倍はあろうシャンデリアや宝石の装飾の数々。これだけで<ノア>のどれほどのお金がここに集結しているのだろう。そんなことを思ったが、隣のマヒルの小声に、その思いは払拭される。


「なんだよこの店、兄貴が選んだにしては随分貧相じゃねえか……」


━━━嘘だろ?


 そんなわけ無いだろうとも思ったが、実際問題、こういう洒落たレストランに慣れているであろうマヒルの言うことであれば、ここはまだまだそんなに豪華ではないということだろうか。

 見た目だけでは判断できないのは、人間だけでなく、レストランでも同じということだろうか。


(わかんないもんだなぁ……)


 そんな事を考えていると、奥にふと、知っている人影が見えた。


「あっ、あれ、ピーターさんじゃないですか?」


 アサミはマヒルの肩を軽く叩き、ピーターと思われる人物を指さした。

 遠くからでも見える金髪が、何よりの証拠のように思えた。


「━━そうだな。よし、じゃあ、あのテーブルに行くぞ」


 少しだけ歩くと、その指さした人物は実際にピーターということが分かった。

 ピーターはその貼り付けたような笑顔でこちらに少しだけ手を降った。


「やぁ、マヒルさん、アサミさん。どうぞ、そちらの椅子にお座りください」


 テーブルは丸テーブルの形になっており、ピーターのほぼ対面にある二つの椅子の上を舐めるように手を広げた。

 何も言わぬまま、二人は椅子に音一つ立てず座る。


 なんとも言えない緊張感が、この三人の中を駆け巡っていた。


 そのまま、何も話さなかった。

 三分ほど立ったが、未だに言葉一つ誰も発していない。

 アサミは気まずくなってしまい、手元に置かれていた水の入ったガラス製のコップを口元まで運び、一気に飲み干した。

 飲み干すつもりはなかったが、なんとなく全部飲んでしまった。

 それほど気まずいということだ。


 しかし、その気まずさを殆どかき消してくれた存在が、テーブルの隣に立った。


「注文はお決まりでしょうか?」


 この店の店員であった。

 そのにこやかな女性の笑顔には、アサミはとにかく救われたと思った。

 この場を立ち込めていた気まずさが少し晴れた気がした。


「どうしましょうか?」


「そうですね……。シェフの今日のレシピでお願いします」


「かしこまりました」


 ピーターの注文に応えると、その女性店員は厨房があるであろう場所へと戻っていく。


 これがなにかのスイッチだったのか、ここからは少しだけ会話があった。


 と言ってもピーターがただアサミに向かって「軍には慣れましたか?」「テイムさんとはうまくやれているでしょうか?」「スノウラビットの性能には文句ないですか?」などの、軍に関しての質問攻めを喰らうだけであったが、それだけでも十分に先程よりも時間の進みは早く感じた。


 はい、いいえだけでしか会話していないのに、何故か会話に飽きない。

 これも、ピーターの商売術の一種なのだろうと確信した。


 会話がちょうどストップ仕掛けていた瞬間、先程の素敵な笑顔の女性店員が今度は温かいご飯を器用に持って運んできた。

 そのご飯を、テーブルの上に次々と並べていく。


「こちら、本日のメイン、『<ガネーシャ>産牛のローストステーキ』です。そしてこちらが、『本日のシェフの気まぐれサラダ』です。━━」


 その後も、美しく、そして美味しそうな料理が次々と並べられていく。


 特に美味しそうなのがこの『ウサギの脚のスープ』だ。

 本でしか見たことのなかった幻の料理だと思っていたが、まさか本当に存在するとは思わなかったので、少しの感動を覚えた。


 アサミは目を輝かせながら並べられていく料理を眺める。

 初めて見る料理の数々に、今にも口の中のヨダレが溢れ出そうだった。


「それでは、ごゆっくりどうぞ」


 一品一品の料理の量は少ないものの、その分、まるで花のように輝かしかった。それほどまでにキレイな料理の数々だった。


「いただきます」


 アサミは小声で言うと、一番最初に出された料理、牛肉のローストステーキを口に運ぶ。


「美味し〜!」


 思わず口から声が出てしまった。

 アサミはここが高級レストランであったことを思い出し、フォークとナイフを皿に戻して口を拭いた。顔は恥ずかしさで少し赤くなっていた。


 その様子を笑顔で見ていたピーターは少し雰囲気が変わったようにアサミに話しかけた。


「ところでアサミ・イナバさん。話の本題に入りたいのですが……」

<ガネーシャ>では、宇宙獣(スペースビースト)の畜産業も行っています。

そこから仕入れた肉であるため、兎や牛の肉を客に提供することができます。


宇宙獣(スペースビースト)は血抜きなどの工程を徹底すれば、元はただの動物たちであるということもあり食用として食べることができます。しかし、食用としての普及はまだまだなので、こういった高級料理店でしか出されることはありません。

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