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生体系の違い、地表と宇宙

 確かに奥に見えた。

 しかし、パンダとは果たして白い生き物なのか?


 よく分かっていない相手に挑むとは、どれほど恐ろしいかを身を以て今、体感している。


 本で見た程度の情報だと、白と黒の模様に、可愛らしいつぶらな瞳、地球で生息していた時は竹なんかを食べていたらしい。

 その可愛さから昔人気があったと聞いたが、本当に可愛いかすらも本物を見たこと無い三人からすれば断定できないものであった。


 小惑星帯の奥の方から、白い生物が迫ってくるのを感じる。

 こちらに気づいたのだろうか。


 じわりじわりとこちらに近づいてくる。


 その気配に怯えながらも、ただ、そこで構える。

 そして、遂にその時が来た。


 奥から白と黒の生き物が、小惑星を手で弾きながら、ゆっくりと姿を現した。

 黒い部分は宇宙の黒さに混じっていて、とてもじゃないが全身を把握するのは目が疲れる。

 ASCOF(アスコフ)と同じほどのサイズ感であれば、それは30〜40mということになる。


「これが━━パンダ?」


 どうみても可愛く見えない。

 正直、恐ろしいほどである。

 いや、正確には、昔の等身大サイズのパンダは可愛かったのかも知れない。

 しかし、目の前のパンダは人間の何倍も大きな怪物だ。

 彼女らには、パンダと言うよりかは熊に抱く感情、つまり恐怖しか感じられなかった。


「ほ、本当にパンダなんですか……!?」


「あぁ、多分な。俺にもわからん」


しかし、ジャイアントパンダはこちらを襲ってくる気配は疎か、近づいてくる気さえしない。


「ぱ、パンダ……こっちに来ません……よ?」


「うん。こっちが何もわからないから警戒しているように、あっちも警戒しているんだと思う」


 パンダのことを知っていると言っても、昔の、等身大サイズだった頃の話だ。

 サイズも、環境も、見えている景色も違う場所で存在している宇宙獣(スペースビースト)に、最早、昔の記録など宛にすらならない。


「どうする?」


「取り敢えず、初撃を加えてみてどんな反応するか、だよね」


 この時、三人はこの状況を、お互いの警戒態勢としか見れていなかった。

 しかし、ジャイアントパンダは違う。


 ジャイアントパンダの習性として、恥ずかしがりという性格が上げられる。

 これは、昔からのパンダの習性であり、初めて会った相手には襲ったりなんて事はめったにしない。

 というより、パンダは何かを襲うという事はめったにしない。

 全く襲わないというわけではないが、気まぐれな正確であり、その中でも基本的に何かを襲うなんて事はほとんどの行動には入らない。


 しかし、その行動は、あくまでも過去のもの(・・・・・)

 このパンダは、生きている環境が違う。

 このパンダが生きているのは、中国の森林でも、頑丈な檻の中でもない。


 広く、虚無な宇宙の中である。


 そして、アサミたちの行動が決まった。


「じゃあ、取り敢えずやってみますかぁ」


 コックピットの中でアサミは交互に腕を組み、軽い準備体操の真似事をしてみる。

 腰から逆手持ちでヒート・アサシン・ナイフを取り出し、


”キィンッ”


 熱圧縮装置のスイッチをオンにした。


「フ━━ッ……」


 少し息を吐き、コントロールマウスを押し込んだ。


 いつの間にかスノウラビットはジャイアントパンダの後ろまで通過していた。


 その光景に、マルコヴナとラァラは驚きを隠せなかった。


「な、なぁ、見えたか……?」


「み、見えませんでした……あ、アサミさん、お、恐るべし……!」


 しかし、パンダには傷一つ付いていない。

 むしろ━━


『グアアアァァァ!!』


 鳴き声が、ビリビリと虚空の宇宙の中で共鳴した。


「お、怒っちゃった……?のかな?」


 アサミの背中を冷たい汗が流れていった。

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