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<イカロス>奇襲 其の三

なんとこの度、1000PVを突破いたしました!

やったあああああ!!

見てくださる方も増えてきているのがわかって、最近は制作活動がとても楽しいです。

この調子で頑張ります!

「そう。慈悲なんて無い」


 アサミはそう言うとスノウラビットを低姿勢でナイトモスキートの元まで走らせた。

 いや、滑らせたというのが正解だろう。

 まるで滑るようにして、逆手に持ったナイフをナイトモスキートの元まで走らせる。


「させるかぁ!」


 ゲルクもそのナイフに対してヒート・スピアーを振り下ろした。

 ヒート・スピアーの持ち手を、スノウラビットのナイフが滑っていく。滑ったところから火花が飛び散り、ヒート・スピアーが少しずつ剥がれていく。

 しかし、このままではそのままナイトモスキートの腹にナイフが刺さって終わりだ。


「あああああああ!!」


 そこでゲルクは槍を叩きつけた。

 するとスノウラビットは体制を崩し、無重力の中、ゆっくりと倒れていく。

 形勢が逆転した。

 今度はスノウラビットがヒート・スピアーで突き刺される側になった。

 しかし、アサミの冷静な判断によってスノウラビットの脚のバーニアを微調整しながら吹かせることで、見事にナイトモスキートから距離を取った。


 お互いにヒート・スピアーとナイフを構え直した。




 その様子をASCOFアスコフ越しに見ていたテイムは、バーストタイガーをスノウラビットの方向に、前に押し出した。


「不味い!このままだとアサミ准尉が!」


 しかし、動き出してから数秒もしないうちにバーストタイガーのバックパック部が、軽い音を立てながら爆発した。大きな損傷はしていない程度の爆発だったが、爆発から一瞬間が置かれた後、


”ピーッ”

”ピーッ”

”ピーッ”


 警告音が重複して同時にいくつも鳴った。

 ヘルメット越しからも聞こえる大音量で機体が悲鳴を上げているのを理解した。

 すると声が聞こえてきた。


「おい、戦場で油断は禁物だぞ?向こうはゲルクの・・・・戦場だ。そしてここは、俺の・・戦場だ」


 先程までリボウルと呼ばれていた人物の声だ。


「━━俺の、戦場……だと?」


「あぁ、あっちはゲルクが戦ってる。邪魔は入れさせねえぞ」


「ここは……てめえの戦場じゃねンだよ……」


 テイムは沸点を遥かに超えた怒りが、自分に押し寄せてきたのが分かった。


「お前らが勝手にィ!戦場にしたんだろうがァ!!」


 怒りのまま、ASCOFアスコフを動かした。アーム・ヒート・クローの展開。

 次に、コントロールマウスを限界まで押し込んだ。

 リボウルから見たバーストタイガーは、本物の虎のように見えるほど獰猛で、恐ろしく見えた。

 しかし、恐怖とは誰もが経験するもの。

 そして軍人で━━パイロットである今、逃げ出す理由も、意味も、最早無い。


 リボウルは腰に着いている手榴弾を一つ手に取り、バーストタイガーに投げつけた。

 またも、あの小さく連続する爆発がバーストタイガーの胸元で始まった。


”ピーッ”

”ピーッ”

”ピーッ”


「うるせぇんだよ!いい加減沈め!害虫がァ!」


 その爆発の煙の中から飛び出してきたバーストタイガーを見て、予想通りと確信した。

 バーストタイガーの装甲は並のASCOFアスコフでは太刀打ちできないほどの強度であり、ありえないほどの耐久性を兼ね備えていた。


「(だが、装甲が削れた今なら、俺でもやれる!)チィッ!」


 リボウルの機体は背中から一本の槍を取り出した。


「お前もヒート・スピアーか!がっかりしたよ!」


「それはどうかな!?」


「!?」


 その槍は、リボウルのASCOFアスコフが武器の持ち手にあるスイッチを押すと、1.5倍の長さにまで伸びたのだ。

 だが、それを確認したとして、なんになるのだ。


 バーストタイガーは、そのまま突進し、アーム・ヒート・クローを振り下ろした。

 それに対してリボウルの機体も槍を薙ぎ払うように横に降った。

 お互いのASCOFアスコフの間で、互いの武器が重なった。眩しいくらいの火花が飛び散り、一瞬で辺りが明るくなった。


「なっ、斬り落とせない!?てことはこの槍、ヒート・スピアーではないな!?」


 ヒート・スピアーは、量産コストを抑えるために熱圧縮機構をなるべく小さくすることによって量産を可能にしている。

 しかし、この槍は違う。

 ヒート・スピアーの熱圧縮機構よりも、遥かに大きい。

 そしていま、互いの武器が触れているところは熱圧縮機構の部分だけであると理解した。

 それが分かった今、テイムはすぐに後退した。

 交代した後、先程まで鍔迫り合いをしていた右腕のアーム・ヒート・クローを眺めた。


 やはり、刀身が溶けている。

 あのまま鍔迫り合いを続けていたら、あの槍がアーム・ヒート・クローを貫通し、そのまま死んでいたと思うと少しだけゾッとする。

 距離を取ったことでテイムの冷静さが、少し戻った。

 状況確認の意味も含め、先程から投げつけられている手榴弾が何なのかを知ることにした。

 呑気なことをやっているようにも見えるが、相手も自分から策もなしに突っ込んだら負ける相手と分かっているから、放置していても問題はないだろう。


 テイムは先程例の手榴弾が直撃した箇所である、胸部を確認した。

 すると、丸く凹んだ後が、当たった箇所を中心に広がっているのが伺えた。


 なるほど。あの手榴弾の謎が解けた。

作中で説明するのが困難と判断したため、ここで説明をば。


リボウルの機体が使っていた槍。

作中では「槍」としか明記されていなかったが、正式名称は、「ヒート・ランス」である。

「スピアー」と槍という意味は変わらないが、ヒート・スピアーの改良ではなく、ほとんど別物として作られているため、名前も違うとされている。

ヒート・ランスの最大の特徴は、圧倒的な武器自体の長さと、熱圧縮機構の熱放出部分、つまり攻撃部位が大きいというところである。

しかし、大きな遠心力が生まれるため、小回りの話に関してはヒート・スピアーの方が上と取れる。

そういったことも考慮し、ヒート・スピアーの改良ではなく、新たな武器として作られたのだ。

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