急用
プランDを続ける<イカロス>の軍隊。
戦艦、リーティフのパイロット、アサミ・イナバとテイム・プロスル。この作戦においての主戦力である。
アサミ・イナバは現在、何かしらの隠された力で戦場を無双しながら駆け回っているらしい。
では、テイム・プロスルはどうなのか。
テイムは今、リーティフ艦長のコトブキとの通信をしていた。
「艦長、アサミはどうなっている?」
『いや、分からない。通信は途絶えていないから死んではいないと思う……が、帰還要請には応じてくれないな』
「はぁ?大丈夫なのか、それ?」
テイムに若干の不安が現れる。
『いや、だから、大丈夫だとは思うんだ。強いて言えば、暴走状態、というか……。とにかく通信に応じてくれない』
「それを大丈夫、とは言わないんですよ……。━━分かりました、アサミの位置情報を常に更新しながら送り続けてください。俺は敵を倒しつつ、そこに向かいます」
『了解した。頼んだぞ、テイム少佐』
コトブキはそう言い、通信を切った。
その直後、アサミの位置情報がレーダーにピコンピコン、と音を立てて表示される。
「馬鹿みたいじゃないか、勝手に苛立って……」
テイムは静かに、ゆっくりと、しかし確実にコントロールマウスを押し込む。
高速で発進したバーストタイガーだったが、その数秒後に、見慣れぬ機体が前に佇んでいる事に気づく。
「チッ……」
テイムは舌打ちをした。
見たことのあるようなフォルムのASCOF。それが数機。
間違いない、敵だ。
ナイトモスキートの射程圏外ギリギリまで来て急停止する。
「何の要件だ?生憎、俺は今忙しい。そこを退いてくれたら、見逃してやる」
テイムのその言葉に、カスタムされ、他の機体に比べて大きく改造されたナイトモスキートのパイロットであろう人物が怒りを露わにしながら通信に入ってくる。
『あ?テメェ、ここが何処か分かってないらしいな?ここは戦場なんだよ。見逃してくれるような仏様みたいな人間がいればそいつの背中を後ろから槍で突き刺すような場所だぜ?それを分かってて言ってるなら、あんたは相当な馬鹿だな』
「馬鹿だ何だと思ってくれて構わない。俺は兎に角、行かなければならないんだ。後ろから槍で突き刺しでもしてみろ。その時がお前の生涯の最後だ」
お互いに一歩も譲らない性格、というのが分かった。
『まぁいいや。お前、噂によく聞く、『紅蓮の虎』だろ?俺の名前はバンディック・ギルミール。一つ、手合わせ願おうか?』
何故、<アポロン>の人間はこんなにも血の気が多いのだろう。
「あぁ、分かったよ。面倒だな。その周りにいるナイトモスキートも全員掛かって来い。全員同時に相手してやる。そんで速攻で終わらせて前に進まさせてもらうぞ!」
『あぁ、言われなくてもなァ!』




