孤児
”ドゴォォォォン”
爆発音が真横から聞こえる。
真横にいたナイトモスキートが倒された音だ。
その音を無視でもするかのように通り過ぎていく他のナイトモスキート達。
あれから十分程でほとんどのナイトモスキートがやられてしまった。90もいたナイトモスキートは、いつの間にか残り19機となっていた。
しかも、まだディーネウンとの距離はそれなりにある。クワイエットビーの攻撃によって足が止まり始めてているのだ。
「よし、この調子で……!」
”キィン”
コッキングをすることで弾はさらなる爆発を起こし、軌道を変え、敵を倒す。実は弾の爆発条件は、パールスペック:ドラゴンのコッキングなのである。
しかし、敵はそんなこと気づいていないだろう。
そうして、ラァラは更に弾をパールスペック:ドラゴンに込める。
「やっぱりそうです、ノーマン軍曹!敵機のスナイパーライフルのコッキングに合わせて、弾が爆発しています!」
「やっぱりか。よくやったぞ、ヤマモト二等兵!」
気づかれていないと思っているラァラは、極限まで甘かった。<アポロン>には既に、この十分間の攻撃によって感づいており、たった今、確信に至ったという感じだ。
「このままやられ続けるのも効率が悪い!スピードを上げろ!特攻で敵をビビらせてやればいい!!」
実際にはまだ少し距離が離れており、特攻するには数が足りていない状況である。
「きゃあ!突っ込んできてる!」
しかし、元々内気であるラァラには、その効果は絶大であった。戦場であるため逃げ出すことはないが、ラァラにとっては恐ろしい光景であることに変わりはない。
”パァンッ”
ラァラは急いで二段式反発弾を発射させる。もちろん、敵はその攻撃によって爆散する。しかし、こちらに向かってくるスピードは、落ちるどころか寧ろ上がっていく。
「な、なんでぇ!」
もう距離は結構な近さであり、ナイトモスキートの射撃攻撃ならばそろそろ届く頃合いだ。しかし、攻撃をやめることなどできるわけがない。
だが、敵は人間である。コンピューターではないし、模擬戦でもない。つまり、こちらだけを狙っているわけではないということだ。
”バババババッ”
敵のナイトモスキートが一斉にライフルを連射する。
狙ってきたのは勿論、クワイエットビー
……ではない。
クワイエットビーが足場としている、ディーネウンである。
「ま、不味い!」
ラァラは急いでパールスペック︰ドラゴンに弾を込めようとする。その瞬間、邪魔をするように通信が入る。
ディーネウンの艦長の声だった。
「マリンスノウ准尉!もう持たん!爆発に巻き込まれる!早く離れ━━……」
”ドゴォォォォンッ”
クワイエットビーの足元で爆発が広がる。この爆発では、もうディーネウンの乗組員は全員助からないだろう。当のクワイエットビーも右足を失い、上方向へとそのまま吹き飛ぶ。
ラァラからしてみればピンチなのだが、それは敵にとって圧倒的なチャンスである。吹き飛んだ先の場所で、いつの間にかナイトモスキートに囲まれていたのだ。
「ちょっと待って……。私スナイパーだよ?」
ラァラは<アポロン>の兵と通信し、会話を図る。
「あぁ、知っている。だから、抵抗せず、ここで投降するのならば、こちらで引取り、命は助けよう。君は実に優秀なスナイパーだからな」




