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とある仕掛け

 <アポロン>の連中の、「何が起きているのか分からない」という困惑した顔が目に浮かぶ。それで少しニヤけてしまうのも、ラァラの悪いところではある。(可愛いが)


”パァンッ”

”キィン”


 実は、まだこの()は使う予定ではなかったのだが、ここで使わないとやられると思ったラァラは、イチかバチかで使用することを決意した。

 それは、


「ジャイアントパンダの細胞データをベースにして毛皮を練り込ませて作り上げた、新しい弾!それこそ、『二段式反発弾』!!」




 この『二段式反発弾』、名前の通り弾である。ジャイアントパンダの細胞データを取り込んだことにより、精密性が上がり、更に弾の中に()()()()()()をしている。

 それこそ、二段式反発、の名前の由来である。空中での軌道を途中で360度、どこにでも変えられるというものである。弾の中に小型のブースター装置が入っており、クワイエットビー側からスイッチを押すことでブースターが起動し、軌道調整しながら、もしくはぐるりと方向を変えながら弾を飛ばすことができるのである。

 つまりどういう事か。

 ラァラから見えている敵は全て、避けることがほぼ不可能の、最強のスナイパーとなるのだ。




 実際、今放った弾も、無事に着弾。


「よし、少しずつ数を減らせてる!」




 <アポロン>からすれば、一溜まりもない状況だ。


「な、なんだ!?確かにデータは取ったんだ!そう、確かに!なのになんで避けられない!!」


 そう言っている間にも、


”ドゴォォン”


 味方は無慈悲にも爆発していく。これ以上の損害は流石に不味い。


「どうする……。またスナイパーのデータを取り直すか……、いや、それよりも仕組みを突き止めねばならない。データなんぞ不要だ!」


”パァンッ”


 ちょうど都合よく、件の弾が飛んできた。弾は味方のナイトモスキートから少し逸れた射線に飛んできており、少し避ければ大丈夫な程だ。


「32番!弾が飛んできている!大きく旋回しろ!」


「りょ、了解!」


 ナイトモスキートはほぼ真横に舵を切る。勿論射線からは何メートルも離れており、当たるはずもない。しかし、その弾は予想外の動きを見せる。

 なんと、その弾は避けたナイトモスキートの真横の直線上に来ると、火花のように小さい爆発が起きる。そのままくるりと方向を変え、更に加速させながら、ナイトモスキートの方へと直進していき、そのまま胸部を貫く。

 その一部始終を見ていたノーマンは、開いた口が塞がらなかった。


「な、何が起きているのか……。理解したくはないが、分かったぞ……。弾の中にブースターかなんかを仕込んで、物理的に軌道を変えてやがるのか……」


 避けようがなくないか?なんて考えに至ってしまうほどの強烈な性能。

 そう考えている合間にも、


”パァンッ”


 弾が飛んでくる。この恐ろしさを、理解してほしい。

 これまでは大体どこのナイトモスキートを狙っているのか、弾の軌道から推測することができたが、この弾の性質上、()()()()来るのかが分からないのだ。

 つまり、常に命の危険が視認できる状態の弾。それが恐ろしく早いスピードでこちらに迫ってくるのだ。


 ノーマンはとにかくマイクに向かって、音が割れそうになるほどの声で命令する。


「散解ッ!!とにかく避けろッ!!」


 こう言うしかなかった。自分も死んでしまうかもしれないという恐怖の中で、絞り出した言葉であった。

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