89、88、87、86、85……
助けなど来ない。
何故なら、ここが<イカロス>にとっての最後尾の船だからである。
つまり、なんとしてでも、ここで食い止める必要があるのだ。
「このスピード、どう考えても特攻ぐらいの進行速度じゃない!しょうがないから、一機ずつ倒してかないと!」
”パァンッ”
”キィン”
パールスペック︰ドラゴンで敵のナイトモスキートを撃ち抜く。隣にいたナイトモスキート達は撃ち抜かれた者から距離を取り、そのまま特攻を続ける。
撃ち抜かれたナイトモスキートは進行が止まり、数秒後に爆発した。
ラァラからすれば、遠い敵の為、ちょっとした光が見えただけだが。
しかし撃ち抜いたところで、数は90から89になっただけ。戦況がひっくり返ったとは全然思えな━━。
”パァンッ”
”キィン”
そんなこと、ラァラには関係のない話だった。ただひたすらに敵を倒していく。そうでないと、この戦いには勝てない気がするから。
またしても敵のナイトモスキートを撃ち抜くことに成功しており、数を89から88に減らす。こうして残りも全員、なるべくやっていくしかない。
━━30秒後。
30秒で何があったのか、と思うかも知れないが、その30秒でラァラにとって明らかにおかしな状況へと発展していた。少しずつディーネウンとナイトモスキート達の距離は近づいて言ってるが、別にそれは関係のない話だ。まだ余裕はある。
じゃあ何か?
(何?なんで?)
”パァンッ”
”キィン”
パールスペック︰ドラゴンの銃口から弾が発射され、ナイトモスキートの元へとぐんぐん進んでいく。しかし、何秒経っても向こうから爆発する気配も、敵を倒した手応えもやって来ない。
ラァラの腕が落ちてきたのではない。
敵が弾を避け始めているのだ。
慣れてきたのか、はたまたデータが揃ってきたのか。細かなことは分からないが、避けられているという事実が重要なのである。
「だったらもう、あれしかない━━」
━━<アポロン>側の視点である。
「そろそろ敵のスナイパーの法則性もわかってきた。ここからはなるべく弾に当たらないように、数を減らさないように進行のスピードを上げるんだ!」
「「「「「了解ッ!!」」」」」
この団結力である。
向こうは補給艦一隻。対してこちらは80以上。更には敵の攻撃は当たらないときた。
「残念ながら、負ける道理が無いな」
この特攻作戦を指揮している、ノーマン・アルモンドは言う。勿論、部下もこの考えに同意である。
その時、敵のスナイパーのスコープのレンズが光った。
「敵スナイパー、狙撃くるぞ!近づいてきてる、警戒を強めながら全身を継続!」
「「「「「了解ッ!!」」」」」
”パァンッ”
遠くの方から狙撃音が聞こえてくる。
「ははっ、ノーコンだ。コレなら俺でも避けれる!」
一般の兵士は余裕ぶって、少し弾を引き付けてから避けた。見事に弾はナイトモスキートの横を通っていき、当たることはない。
……と、思われた。
<アポロン>のメンバー全員はそう思っていた。
しかし、である。
”ドゴォッ”
避けたと誰もが思っていたナイトモスキートから、なにか鈍い音が鳴る。その直後、
”ドガァァァァッ”
きれいに爆散していった。
<アポロン>のナイトモスキートメンバー全員は、何が起きたのか全く持って分からなかった。
「な、なんだ。何が起こっているんだ!?」




