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バイノーラル

 爆発した。すぐそこにいるナイトモスキートが。直属の部下が。


 確かに高速の金属音が聞こえたのだ。これは嘘じゃない。まぐれでもない。音がしてから数秒、いやはっきりと覚えている。


 ━━2.4秒。


 音がしてから部下のナイトモスキートが爆発するまでのタイム。つまり、その秒数の中で何かが起こったということに変わりない。

 ━━その瞬間(とき)だった。


”キンキンキンキンキンキンキンキン”


「きッ、来た!この音ッ!連続した金属音!」


 しかもこの音、どこからなっているのかと思えば、すぐそばじゃないか。つまり、敵の攻撃は既に始まっているということ。


(どこだ?どこにいる……?)


 先程も思ったが、見えないのである。だが、関係ない。

 音のなる方向に試しに拳を思いっきり振ってみればいいのだ。そうすれば見えないなんて関係ない。だからこそのクラッシュライノスの大きな掌だ。

 だが、この連続した金属音の出どころを探っていると、グラマスの耳には別の音が割って入ってきた。


”ビーッビーッビーッビーッ”


 クラッシュライノスの警告音だ。コックピットは少し赤く光り始め、警告音は五月蝿く響く。耳が今にも割れそうなほど、とかではないが。


「なんだ!?どこから攻撃を喰らったんだッ!?」


 コックピットモニタに表示されている警告箇所を見ると、黄色く表示されている右腕がどうやら危険な状態らしい。

 しかし、そんな事お構いなしに、と、


”ビーッビーッビーッビーッ”


 今度はモニタの中のクラッシュライノスの左腕部分で黄色い警告を出している。


(右腕の次は左腕……)


”ビーッビーッビーッビーッ”


 またも警告音が鳴り響き、右腕の警告が少し強まる。黄色から少しだけオレンジみのある色になった。


(右、そして左。左右が交互に攻撃されてる。何かを使って(・・・・・・)。その何か(・・)が分かればこっちのもんなんだが……)


”ビーッビーッビーッビーッ”


「それが分かれば苦労しねぇんだよなァ!」


 だが、敵が見当たらないということは何かでカモフラージュでもしているのか、それとも見えないような状態、例えば光学迷彩でも使っているのか。だとしたら、超高速で周りを回っていることになる。

 ━━まさかな。

 だが、情報が無さ過ぎる。だから、今は自分の戦闘勘を信じるしかない。

 グラマスは、もう一度、自分の耳を澄まして、感覚を研ぎ澄ませる。集中力を、視覚ではなく、耳と指に全て割く。


”キンキンキンキンキンキンキンキン”


「右左右左右左右左」


”キンキンキンキンキンキンキンキン”


「右左右左右左右左」


”キンキンキンキンキンキンキンキン”


「右左右左右左右左」


”キンキンキンキンキンキンキンキン”


「右左右左……次はァ、右だァァァァァァ!!!!!」


 グラマスのタイミングは、完璧なタイミングだった。クラッシュライノスの腕が動き、殴る動作のコントロールマウスの遅延すらも考慮した、まさに完璧なタイミング。


”ブォンッ”


 しかし、その大きなクラッシュライノスの拳は、暗がりの宇宙に寂しく空振った。

 右左交互に聞こえてくる金属音も一瞬だけ止まるが、また何事もなかったかのように左右交互に鳴り出す。


”キンキンキンキンキンキンキンキン”


「なッ……。クソ、もう一回だ!右左右左右左右左……」


 グラマスはこんなことで挫けるような男ではない。諦める男でもない。


「右左右左右左……次は、左ッ!!」


”ブォンッ”


 またもクラッシュライノスの拳が空振る。音も鳴り止まない。


”キンキンキンキンキンキンキンキン”

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