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とある喫茶店の日常。  作者: TiLA
第18章
179/185

第179話

 今日もとある喫茶店の日常が過ぎていく。


 フォーマルドレスを着た婦人が来店していた。


「今日は何かあったんですか?」


「娘の結婚式と披露宴があったんですよ」


 婦人はにっこりと、それでいて少し寂しそうに笑った。


「それはおめでとうございます。他のご家族の方は……?」


「実は不幸があった親友の夫婦の子を引き取って育ててきたんです。しがない未婚のシングルマザーなんですよ、フフッ」


 目を細めて遠くを見つめる瞳にはこれまでの思い出の日々が映っているようだった。


「……寂しくなりますね」


「肩の荷がおりてホッとしましたよ。でも、これまで幸せな毎日を与えてくれたから感謝もしてます。何かおすすめの飲み物をくださる?」


(♪♫♩♩ ♪♫♩♩)


 そのとき、婦人のスマホが勢いよく鳴った。

 スピーカーから元気の良い若い女性の声が聞こえてくる。


「ママー! 早く二次会に来てー! 独身の先輩とか上司がママを紹介しろってうるさいの! もう婚活だよ婚活!! 早く来てね!」


「あらあら……大変、どうしましょう? せっかく何か淹れようとしてくださっていたのに……」


「どうか気になさらず行ってあげてください。お代は結構ですから」


「じゃあ、お言葉に甘えさせていただくわね。御免なさい」


 婦人はそそくさと、しかし明らかにさっきより若々しく店を出ていった。


 ――― カランコロン ―――


「マスター、こんにちは〜! あら!? 珍しく紅茶を飲んでいるのね?」


 入れ替わるように入ってきた常連のアスカさんが声をかけてきた。


「スッキリした香りね〜。何飲んでるの?」


「セイロンティーの“ウバ”という銘柄です。でも、今日は失敗だったな」


「あら、どうして?」


「血は繋がっていなくても、本物の母娘(おやこ)でしたから」



お読みくださり有難うございます。

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― 新着の感想 ―
こんにちは! なんだかウルッときました。 こんな喫茶店があったら行きたいです。 素敵なお話を読ませていただき、誠にありがとうございます。
血がつながっているか、そうでないか、でも本当に仲の良い親娘でしたね。 「ウバ」は産地の名前だったと思いますが、印象的な名前ですよね。読ませていただき、ありがとうございます。
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