第102話
今日もとある喫茶店の日常が過ぎていく。
「あの……マスターさん……」
「なんでしょう? お嬢さん」
「この世にサンタさんっているのかな?」
「イエス、バージニア!」
「わたし……バージニアって名前じゃない……」
「すっ、すいません。その問いかけに対する有名な絵本のタイトルでして」
「どんなお絵本なの……?」
「8才の少女がお父さんにサンタクロースはいるの? って聞くところから始まります」
「うん、それで……?」
「お父さんは、サンに聞くといいよ。と言います」
「お父さんは、さんをつけろよデコピン野郎。と言ったの?」
「言ってないです……。サンはニューヨークの新聞社のことで、サンタさんがいるか投書して聞いてごらんと言ったんです。あとそれ、デコピンじゃなくデコ助です」
「そうなの……それでその答えがイエス、バージニア! だったのね?」
「イエス! えっと……お嬢さん?」
うっかり答えた後の言葉を探していると、少女が人差し指をそっと口にあて、微笑みながら言った。
「ナナミよ。わたしの名前はナナミ……。ふふっ、よろしくね」
――― カランコロン ―――
蠱惑的な空気を残して店を後にしていった。
心の内で、「高◯クリニック!」と叫んだことは内緒だ。
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