Ⅰ
僕は…歩いていた、数時間前の事だ。
僕は今どこにいる?声には出さないが思考を巡る。
僕は家で寝ていたはずなのに、地面が硬い、空が、草地が広がる場所
周りを見れば漫画で観た様な
ゴブリンが平原を闊歩し
ワイバーンの群れがそれを襲う
日本では見られないような光景
吐きそうになった
この場には居られないと感じ僕は必死で逃げたけど
どれだけ走ってどれだけ見渡しても周りに人工物は一つもない
走る速度が遅くなる。体力に限界を感じた
僕のいる場所に帰りたい
僕は思い出し気合を入れる家に帰る為、ここが日本じゃないかもしれない。そんな考えは捨てて
注意深く見る。
遠くに木がある。あそこまで行けば安全だろうか、遠い遠いその場所。歩くには遠いと、感じる
その場に固まって、森だろうか、と感じる
お腹が空く、目眩がする。暑い、寒い
限界が近いと感じる。
固まったまま動けない
涙が流れる。短かったと、やり残した事が沢山ある。
まだあの漫画も見てないし、幼馴染に会って言わなきゃ行けないこともある。
僕にはやり残した事が、しょうも無いけど沢山ある。
ママにも親孝行できてない。まだ彼氏もいない、友達と遊ぶ約束も…やり残した事より今までの思い出が蘇りつつある。
あれをした、あの時何をしていた、全てが鮮明に思い出せる。幸せな事ばかり思い出す。涙が止まらない。
怖い
怖い
怖い
怖い
怖い
怖い
怖い
寒さが増し体が震える
目眩が激しくなる、体から体液が溢れ出す。
目を閉じよう、背けようとすると背後から音がする。助けかとばっと振り向くと
死を告げる死神の様にゴブリン?みたいのが立っている
何かを判別出来ないが小さく醜い瀕死の僕よりも小さく見える。
光が見える
一筋の光が
あれを倒せと周りから囁かれる
空腹
脱水
目眩
頭痛
幻覚
幻聴
悪寒
腹痛
冷汗
全てが訴えかけてくる
諦めたい
全てを諦めて目の前にいるナニカに殺され食べられたい
動くなと
僕の周りが囁く
殺して食えと
あれを
僕が
僕は
動こう
体を動かす
軽い
まるで亀の様に軽い
奇声を上げる
無理矢理動く
腕が千切れそう
足が千切れそう
頭が落ちそう
目の前の物体も動く
速い
見えない
勝てない
汗が滴る
でもそこにいる
そんな気がする
腕を振り絞って
前に突き出す
グシャそんなつぶれる様な音が響く
目の前の物体は倒れ込む
目が合う
何かがわからないがぴくぴくと生きたいと動こうとしている
手が痛い
初めてものを殴った気がする
手が動かないが今はそれより
近くに石が転がっている
それを拾い上げ
倒れ込んでいる物体に近づき確実に動かなくなるまで石を叩きつける
1日
フツカ
三日
長い
長い
動いてないのかもわからない
のろのろと石を上げ振り下ろす
意思があるのかないのかはっきりしないまま
振り下ろす
上げ
下ろす
上げ
下ろす
一ヶ月
ニカゲツ
3ヶ月
きっと動かなくなった
血だらけの中で
喉が渇いた
水溜りがある
顔つけ飲む
不味い
美味しく感じたらいいのに
スキル[血を求む者]を獲得しました。
変な声が聞こえたと思ったら水溜りの水が美味しい
全てを飲み干そうとすると
何かが口に当たった、柔らかく肉の様だ
それを口に入れ噛む
舌の下に広がる酸っぱさ
水と混ざり水の旨みで噛み締める。
唾液が出る、鼻をつく獣臭
食べなければ
食べて食べて生き残らねば
食べ続ける内臓も脳味噌も目玉も
食べれば食べるほど何処の部位か分かる、その度に吐き気がする。美味しい水もただの血
辺りに血の匂いと獣臭がする。
吐き気がしても食べ続ける
生きるために
怖いのが来ない様に
何故か周りには何も来ない
それをいいことに
骨をしゃぶり
皮を食べ
全てを頂く
生きるが為に
僕を喰らう
僕は喰らう
僕は。
スキル[悪食]を入手しました
そっと目の前が暗くなる
聞こえてくる囁かれる脳内に直接響く
レベルが上がりました
ゴブリンを喰らいステータスにボーナスが与えられます
称号をアンロックしました
[生にしがみつく者]
スキル[精神耐性小]
スキル[回復]
スキル[祝福]を入手しました
称号をアンロックしました
[神の試練に勝利した者]
スキル[ギフト]
ギフトからの派生で
スキル[魔法力小]
スキル[魔法力小]を手に入れたことによってステータスに魔力が追加されます。
声の響きから解放された。強制的に起こされていた感じがする。目を瞑る。こんな所で寝たら死んじゃうかな
僕は生きたい
僕は…
しかし体に抗えない強烈な眠さ
目を瞑ってしまう。
囁く声が聞こえる。
おやすみと…
二千字程度で書いてます。よろお願いします。