表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/100

(99)企業

 企業とは個人では成し得ない生業なりわいくわだて、世の中に貢献する組織である。決して金儲かねもうけで肥え太ることを最終目的とする組織ではない・・とは、いつぞや聞いたような聞かなかったような夜間の講義である。^^ それは分かっているのだろうが、きびしい生存競争をかけ、それでも企業は企業を続けねばならないのがつらいところだ。^^

 ここは、とある中堅企業である。なんとか同種の大手企業に打ち勝とうと社長の皺宮しわみやは、社長椅子で腕組みをしながら策をっていた。そこへ、入ってこなくてもいいのに秘書室長の若肌わかはだが社長室へ陽気に入ってきた。

「ははは…いつもながら、お元気そうでなによりでっ!」

「君はいつも、そんな馬鹿なことを言って入ってくるが、なにか心配ごとは他にないのかねっ!」

「はあ、そういう社長は、いかがなんでございましょうか?」

「私かっ!? 私はいつも会社のことで悩んどるよ。能天気な君と一緒にしてもらっちゃ困るっ!」

「いや、それはあまりにっ! ははは…」

 若肌は血色のいいほお紅潮こうちょうさせて愛想笑いした。愛想笑いで気持をぼかすところがこの男の得意とするところで、今まで一度も社長の機嫌をそこねたことがなかったのは、ある種の特技とも言えた。

「それはそれとして、大手に打ち勝つ、何か妙案でもないかね、君?」

「と、申されますと?」

「分からないか? 長髪ながかみグループ‎に先を越されそうじゃないかっ!」

「ああ、長髪グループですか…。でしたら! こちらは角刈かくがりの束子たわし頭でやり返しゃ、いいじゃありませんかっ! ははは…」

「ほう!! 束子頭ねっ! …それは気づかなかったぞっ! よしっ! すぐに専務を呼んでくれたまえっ!」

 皺宮は何が頭へ浮かんだのか? 急に相好そうこうくずした。

「分かりましたっ!!」

 若肌は陽気な早足で社長室から出ていった。

 危機にひんした企業が、企業としてそれでも存続していくには、奇抜きばつなアイデアが必要なのかも知れない。^^


                  完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ