(98)極(きわ)める
いろいろなこと[諸事]に精通し、その行き着く先を極める・・というのは並大抵のことではない。いいところまでいくと、まるで賽の河原で子供が積んだ石を鬼が無慈悲に崩すみたいな感じがこの世の現実なのである。それは狡猾な欲望という形に姿を変え、アノ手コノ手と吹きまくる。それでも人は風に向かって努力する訳だ。まあ、柳に風と吹き流せばいい訳だが、人は脆く、ついつい欲に溺れてしまう。私など、溺れっぱなしで生きている。お地蔵様にお救いいただきたいくらいのものだ。^^
冗談はさておき、極めた人は達人と呼ばれるが、極める・・という概念自体、漠然としていて捉えどころがないから、コレッ! という数値や形で表せないのが難点だ。それでも人は極める到達点を目ざして日々、究めている訳である。^^
ここは、とある柔道場である。早朝から賑やかな稽古の声が辺りに谺している。
「先生っ! 朽木括りの荒技、完成されましたかっ!!」
「いや、未だに極めるのが叶わんでのぉ~!」
「そうでしたか…。ご健闘をお祈りいたします」
「おお! ありがとう!」
師範は師範代へ、どうも、無理だな…とは思えたが、それでも自信ありげに返した。
まあ、極める・・というのは、そんなもののようだ。^^
完