（９６）落ちつく
世の中の物事は、落ちつくところへ落ちつくように上手く出来ている。そうなるためには落ちつくことが必要となる。＾＾ 取り分けてダジャレを言っているつもりではないが、そうなのだから仕方がない。この、落ちつくところへ落ちつく・・という現象は、良い悪いに関わらず、すべてがそうなるというのだから面白い。悪いことを企んで上手くいったとしても、最終的には御用っ！ となり、監獄暮らしで落ちつくように出来ている。＾＾ 時効とかで完全犯罪だっ！ などと粋がってみたとしても、しょせんは悪事を働いた自分自身までは欺くことが出来ない。死に至るまでその罪を引き摺って生き続けることになり、チ～～ン！ と鳴らされ、線香の一本も手向けられて落ちつく・・といった寸法だ。＾＾ だから、落ちつくためには余り悪いことは…という結論に至る。＾＾
朝から落葉が舞い落ちる中を、せっせと掃いている奇特な老人がいる。よ～～く考えれば、掃いたあとからあとから落葉が舞い落ちるのだから掃く意味がないように思えるのだが、その老人は掃き続けていた。するとそこへ、近くの主婦が買い物帰りに通りがからなくてもいいのに通りがかった。
「ほほほほ…ご精がでますこと！」
「ああ、どうもどうも…」
聞きようによっては小馬鹿にされている…と取れなくもない言われ方だったが、その老人は、それでも柳に風と聞き流した。
「ほほほほ…あらっ！ また落葉が肩に…」
このひと言も聞きようによっては、いくら掃いてもムダですわよっ！ …と取れなくもない言い方だったが、老人は臆することなく主婦へ返した。
「ははは…掃いてますと、どういう訳か落ちつきましてなっ！」
「ほほほほ…」
主婦は、落ちつくんかいっ！ と取れなくもない愛想笑いで通り過ぎた。
どんな形であろうと、本人が落ちつくなら、それでもいい・・ということになる。＾＾
完
