(95)窓口
最近の受付は、なんとも味けない・・と聞いたので、私も行ってみた。で、確かにそうだな…と思えた。^^ まったく、愛想がないのである。これが客に対する態度かいっ! 社員教育はいったいどうなってるんだっ! と怒れたが、口には出さず思うに留めた次第である。内部はさておいても、窓口は笑顔で愛想よく、{^^『ペチャクチャ…』}という感じで客に接してもらいたいものだ。[1]笑顔がなく、[2]事務的で、[3]的を得ていない・・となれば、これはもう、アウト!! と叫ばねばならない。世の中の趨勢は最近、頓にこうした色彩を強めているが、実に嘆かわしい限りである。内部が修羅場の様相を呈していようと、窓口だけは愛想いい笑顔であって欲しいものだ。^^
とある会社のエントランスである。朝、いつものように大勢の社員が出勤し、それぞれの所属課へと散っていった。当然、その中には管理職や重役連中も含まれていた。
「おいっ! あのおばさんっ! なんとかならんのかねっ!!」
大声で窓口を指さしたのは、社長の鰻川だ。窓口にはオールドミスの土壌が偉そうな顔つきで座っていた。
「はっ!! さっそく人事にその旨を伝えますっ!」
鰻川のひと言に、まるで怖いものにでも触るかのように秘書課長の尾小是は追随した。
「愛想いいピチピチの若い娘を、だよっ!」
「はあ、そらもう! 分かっとります…」
「ちっとも分かっとらんじゃないかっ! あれほど言っておいたのに、あんなモノノケみたいなババアをっ!」
「社長、いくらなんでも、そこまでおっしゃられちゃ!」
「いや、今日は言わせてもらうっ!! 窓口こそ会社を現すっ!」
「ははぁ~~!!」
尾小是は、まるで水戸のご隠居の印籠を見たかのように鰻川に一礼した。
「私に、そんなことはしなくていいんだよっ! くれぐれも窓口は頼んだよっ!!」
実のところ、鰻川には若い頃、土壌に振られた苦い経験があったのである。遠い昔のことが、それでも尾を引いていた訳だ。ある意味、パワハラ[パワーハラスメント]ぎみなのだが、一応、筋が通った話だから仕方がない。
窓口には尾を引かないOLを配置したいものだ。^^
完