(93)誰がやるっ!
もう、今日は疲れた…と心から思うことは誰だってあるだろう。だが、やらなければダメになると分かっていたとき、あなたならどうするだろう? そのまま負け犬のように諦めるか、あるいは、疲れた身体に鞭打って、それでもやり遂げようと必死に頑張るか・・選ぶ道は二通りに分かれる。二者択一だから、四択問題よりは正解しやいすだろう。^^ それでもやろうとする場合、心に自分がやらないで誰がやるっ! …と自分自身に言い聞かせることが必要となる。まあ、そんな大げさな話になることは、この平和な時代では、ほとんどないのだが…。^^
とある会社の食品開発部では、他社より劣らない新商品を開発しようと日夜、懸命の努力が続いていた。そして、この日もまた、朝から研究第二課の研究課員達は頑張っていた。
「課長! これなんか、いいんじゃないでしょうか」
「どれどれ…」
研究課長の旨味は、出された小皿を試飲した。
「君! これじゃ、追い抜くどころか、どんどん差を広げられるぞっ! 頑張りなさいっ! いいところまでいっとるんだからっ! 君がやらないで、誰がやるっ!」
「はあ…」
言われた研究課員の昆布は、あんたがいるだろっ! …とは思ったが、そうとも言えず、萎えた顔で頷いた。
「他の者も、君達がやらないで誰がやるっ! だっ!!」
旨味は他の研究課員達にも釘を刺すことを忘れなかった。
「はい…」
他の研究課員達は全員、…あんたがいるだろっ! …とは思ったが、そうとも言えず、萎えた顔で頷いた。
そして次の日、不思議なことに新商品は完成を見た。研究課員達を萎えさせた誰がやるっ! のひと言だったが、それでも開発心を呼び覚ます何かが潜んでいたに違いない。^^
完