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(92)キャスト

 皆さんもよく観られると思うが、テレビや映画の中に必ず登場するのがキャストとかの名前だ。もちろん、その作品スタッフの裏方うらかたなども登場する訳だが、特にこのキャストを料理に例えれぱ、どうなるだろう? と、ふと思った次第だ。ひまな人だ…他に考えることはないのかい!? と思われる方もお有りだろうが、考えてしまったのだから仕方がない。そこはそれ、一つお許しを願って、お読みいただきたい。^^

 どこにでもいそうな家庭の主婦が、どこでも作られそうな料理を作っている。言わずと知れた料理、カレーである。材料は、これも言わずと知れたジャガイモ、ニンジン、タマネギ、肉だ。これらのキャストが、調理されながら、それでも主婦のすきうかがっては、なにやらコソコソと話をしている。

『そりゃ~当然、肉のおいらが主役でしょうよっ!』

『なに言ってるのっ! あじよ、味っ! ルーの私がいなきゃ、話にならないでしょっ!』

『…まあ、私やタマネギ、ジャガイモさんは脇役わきやくだから、どぉ~ってこともないんですがね…』

『そうそう! ニンジンさんのおっしゃるとおりっ! 私らはグツグツとられるだけのものですから…』

『ジャガイモの私も、そう思いますなっ!』

『あらっ! そうでもなくってよっ! ルーの私に、いいお味、下さってるじゃありませんのっ!』

『そう思っていただければ有り難いです』

『確かに…』『はあ…』

 そんな思いを知ってか知らずか、プロデューサーの主婦は、いつものようにキャストである材料を適当に調理し始めた。

『あら、いやだわっ! そんなやり方っ! ったくっ! ちっとも、上達してないじゃないっ!』

『ルーさん、おいらもあきらめましたよっ! ここへ出演したのが運の定め、とね…』

『そのとおりっ!』『そのとおりっ!』『そのとおりっ!』

 肉にうながされ、ジャガイモ、ニンジン、タマネギ達は、異口同音いくどうおんに煮込まれた。


                  完

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