(88)修理
物は使っているうちにガタがくる。人も同じで、一定のピークを境に、使っているうちにアチラコチラと痛んでくる。^^ まあ、それは仕方がないことで、この現象を人は減価償却と言う。まあ、身体の場合はそうは言わないのだろうが…。^^ 物の多少の不具合は凌げるが、それでもそのまま使っていれば、当然、傷むことになり、修理となる。人の場合は治療だろう。^^
とある内科医院である。一人の男が診察室の椅子へ座った。
「どうされました?」
「はあ、最近、仕事が立て込んでまして、疲れでアチコチが凝るんですわ。若い頃はそうでもなかったんですがねぇ~」
「はあ、そらまあそうでしょうな。で、どうしろと?」
「どうしろなんて…。なにか凝らない方法とかあれば…」
「ははは…そりゃ簡単な話です。疲れないようにすることです、疲れないように!」
医者は疲れないように、を強調した。
「疲れないように?」
「ええ。物も使い過ぎれば傷んで修理が必要となります。でしょ?」
「はあ、そらまあ…」
「人も同じです。修理しないでも済むようにケアすることですな」
「ケア!?」
「はい。掃除するとか潤滑油を注すとか…。ああ! あなたは人でした。栄養剤の点滴でもしておきましょう!」
「でも!?」
「ええ。まあ、ほんの気休めですがな…」
「気休め!?」
「はあ。修理する必要のないように。ははは…」
男は、なにが、ははは…だっ! と少し怒れた。
限界以上にそれでも使う場合は、修理の要がないケアが不可欠となる。キュ~~! っと一杯・・がケアになるのかどうか? は、定かではない。^^
完