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(83)出遅れたとき

 誰だって、いつも物事がスンナリといく訳ではない。決まった時間に間に合うよう出ようとしていたところ、思わぬ誤算で出遅れたとき、さて、どうするか? が問題となる。出遅れたとはいえ、それでもなんとか間に合わせなければならないのだ。ゆったりと将棋や囲碁の棋士のように長考しているゆとりはない。となれば、瞬間の判断が正確か、適当かどうか? ということになる。判断して、即、行動に移さなければ当然、間に合わない。しかし、いつものゆとりはない。急ぐか、端折はしょるか、あるいは別の方法でスンナリいくすべさぐるかの三通りが思い描かれる。まあ、いいか…とあきらめるのが一番、楽なのだが…。^^

 とあるバス停前である。いっこう来ないバスにしびれを切らせた客がブツクサ言い始めた。

「来ませんなっ! ったくっ! 今日に限って!!」

「ですなっ! 弱りました…。私、今日は約束事があるんですよっ!」

「いや、私もです。何かのトラブルですかな?」

 そこへ、もう一人の男が話に加わり、解説するかのように落ち着いた声で語り出した。

「バスは定刻に走るのが決めですから、出遅れる・・ということは、まず考えられんのです。となれば、なにかの事故とか故障とかでしょうなっ!」

「なるほど…」「なるほど…」

 二人の男はさとされたように異口同音いくどうおんうなずき、納得した。

 数十分して、いつものバスがスゥ~っとバス停へ止まった。そして、運転手がバタバタッ! と降りてきた。

「すみませんっ! 私、ついウトウトしまして、出遅れましたっ! すみませんっ!」

「…」

 解説した男は予想がハズれ、沈黙した。

「いいですよっ! それでも来てくれたんだから…」

「それよか、早く出してくださいっ!」

「あっ! そうでした。すみません…」

 バスは定刻よりかなり出遅れたが、それでもコトもなく動き出した。

 このように、出遅れたときはあやまるに限る。^^


                  完

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