表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/100

(61)見えないモノ

 人がもっともこわいもの・・それは見えないモノだ。その見えないモノが生物でなく、ただの物であれば、見えなくても取り分けて問題になることもない。ただ、そのモノが生物だと、大小にかかわらず厄介やっかいなことになる。どう厄介なのか? といえば、善悪を問わず勝手に動き回るからだ。善なる場合はいいが、悪の場合は相手が見えないのだからそれこそ厄介である。医学的には悪性の細胞やウイルス、悪霊などと呼ばれる憑依ひょうい霊的なモノ、犯罪者をそうさせる教唆きょうさ犯などがそうだ。この教唆犯も見えればいいが、魔と呼ばれる見えないモノの場合、益々、厄介だ。なにせ、魔は知的にありとあらゆる手段を駆使くしして人を困らせようとする。魔が刺した・・などと言う場合がそれで、出来るだけ刺さないで欲しいものだ。^^

 とある宝くじ売り場の前である。一人の男がくじを買おうか買うまいか…と、立ち止まっている。

『いや、買わなけりゃ、たこ焼きが一舟、食えるぞ…』

 そう思った男はトボトボと売り場から遠退とおのき始めた。ところが、しばらくすると、また立ち止まった。見えないモノがヒソヒソとささやいたからだ。

『いやいや、当たりゃ、五万と食えるか…』

 男はふたたび売り場の方へもどり始めた。そして、財布を取り出したとき、またまた思った。

『いやいやいや、五万は食えんぞっ!』

 男は、また売り場から遠退き始めた。そして、しばらくすると、ふたたび立ち止まった。

『いやいやいやいや、タコ焼き以外のモノなら鱈腹たらふく食えるか…』

 男は、またまた売り場の方へもどり始めた。

 そうこうするうちに、日はとっぷりと暮れ、売り場のシャッターは閉じられた。

 このように、見えないモノに魅入みいられると、それでも…と繰り返すことになり、目的が果たせなくなる訳だ。^^


                  完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ