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(60)安全性

 過去の長閑のどかな時代では気にならなかったものが、現在のように生活が向上して複雑化すると、いろいろと気になり始める。安全性である。食品の安全性、ガス漏れの安全性、火災の安全性、耐震構造の安全性、通学の安全性、治療や投薬の安全性、機械の安全性・・などと枚挙まいきょいとまがない。よぉ~~~く考えれば、完璧かんぺきに安全なものなど、この世には存在しないのだが、それに気づかず、世間の人々は安全性を連呼れんこする。最たる例が放射能の安全性だ。原子力発電が身近な問題として取り上げられているが、全然、取り上げられていないものもある。我が国は保有していないから関係ないが、原子力空母がそれである。確かに燃費コストは馬鹿安なのだろうが、安全性では如何いかがなものか? なのである。平和時はいいが、一端、戦闘で船体が損傷を受け、原子炉の放射能漏れでも起こせば、現在の放射性からして乗組員は全員、致命的にアウト! だろう。被爆して助かる余地は、ほぼない。こんな見過ごされがちな安全性もある訳だ。^^

 夕闇が迫るとある、ふぐ専門店の店先である。二人の客が店の暖簾のれんくぐろうとしていた。

「ここのは美味うまいんだよっ!」

「まあ、君が言うんだから間違いはないんだろうが…」

「と、いうと?」

「もちろん、安全性さっ!」

「安全性? ふぐ専門店の安全性をうたぐっちゃ、おしまいだぜ」

「そりゃまあ、そうだが…」

「そういや、この前のステーキ専門店でも狂牛病の・・とか言ってたな?」

「そうだったか?」

「ああ。鳥スキの店前でも鳥インフルエンザが人にも・・とか言ってたぞ」

「そうだったか?」

「ああ。そう言いながら、食べて美味かった。ただ、俺はお前の頭の安全性の方が心配だっ!」

「…」

 言われた男は言葉をなくし、押し黙った。

 安全性は、それでも! と気にしない方が、楽しく生活できるようだ。^^


                  完

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