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(54)生(い)け花(ばな)

 久しぶりに掃除と整理を終えた丸太まるたは、ホッコリとした気分でれた茶をすすりながらあたりを見回した。すると、今までが雑然としていた所為せいか、整い過ぎた物足りなさが、どこかした。

『なんか、寒々(さむざむ)しいなぁ~』

 そう思えた丸太は戸棚とだなの上に花でも…と思った。上手うまい具合に手頃なうつわ剣山けんざんがあったから、丸太は庭に咲いた花でばなを始めることにした。作業は順調に進み、次第にそれらしくなっていった。

『まあ、このくらいか…』

 と、思えた丸太だったが、生け終えた器を戸棚の上へ置くと、どこか生け過ぎた感がしなくもなかった。そのままでもよかったのだが、それでも気になった丸太は、生けた花の枝先をはさみでチョン切った。

『まあ、このくらいか…』

 と、ふたたび思えた丸太だったが、今度は反対側の方が少し生け過ぎてるぞ…と、気になり出した。丸太は、生けた花の枝先を、またはさみでチョン切った。そして器をふたたび戸棚の上へと置き、遠目とおめながめてみると、少し上の方が生け過ぎた感がしなくもなかった。丸太は、また気になる枝先をはさみでチョン切った。すると…と、また鋏でチョン切る繰り返しが続き、いつの間にか生けたはずの生け花はほとんど器から消え去っていた。

 このように、生け花はそれでも! と深追いせず、少し気分を我慢した程度にしておく方が無難ぶなんだと言える。^^


                  完

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