(53)ギャップ
双方の間にギャップ[食い違い]があればあるほど、その差が際立ってグッ! とくる度合いや凄みが増す。例えば時代劇なんかだと、悪役が憎々(にくにく)しいほど、その悪役をやっつける主役が格好よく見えたりする・・といったところだ。色気方面だと、美人なのに秘部が汚らしく卑猥でそそるとか、弱そうな男子が意外とナニが強く強壮家・・といった類いの話となる。^^
とある家庭のキッチンで、どこにでもいそうな主婦が、お汁粉を作っている。
「どれどれ…ちょっと味見してやろう」
「偉そうに…」
主婦は膨れながら、お玉で小皿に煮汁を少し入れて手渡す。主人はその小皿を、さも当然のように受け取り、口に含む。
「…まあ、不味くはないが、それでも今一、甘みがな…」
「そう? なら…」
主婦はそう言いながら、食塩を指先でほんの少し、煮汁へ摘み入れる。
「お、おいっ!! そんなことしたらっ!」
「これでいいのよっ! はいっ!」
主婦は自信ありげに、もう一度、小皿に煮汁を少し入れて主人に手渡す。主人はその小皿を、ふたたび受け取り、口に含む。
「おっ! ギャップがっ!!」
「でしょ!?」
主人はそう言われ、思わず頷く。
このように、それでも! と、より以上の効果を望むなら、ギャップが必要となる訳だ。^^
完