(49)完璧(かんぺき)
ははは…これで完璧な仕上がりだっ! と、したり顔で昼食にしたところ、デスクへ戻った瞬間、「課長っ! えらいことですっ! ワン! ともニャゴりませんっ!」と、仕上がりミスを指摘されることがある。
「ば、馬鹿なっ! 俺が確認したんだぞっ!」
と、力んでみても、あとの祭りで神輿は出ない。^^ それほど完璧は完璧ではない訳だ。それでも人は完璧を求めて、飽きもせず試行錯誤を繰り返している。どうも、これが人が持つ生まれた本性なのかも知れない。
手術が終ったばかりのカンファレンス室である。患者の家族が心配そうに執刀医を待っている。しばらくして、徐にスゥ~っと現れた執刀医が告げる。どうも頼りなさそうな医師だ。
「先生っ!!」
「手術は完璧に成功しましたっ!」
「完璧ですかっ!」
「はい、もちろん! 私が言うんですから間違いありませんっ!」
自慢げな執刀医はその後、手術の詳細を家族に報告した。それでも不安な家族は、執刀医に繰り返して訊ねた。
「あの…ほとんどダメだというお話でしたが…。ほんとに大丈夫なんでしょうか?」
「諄いですなっ! 完璧ですよっ!」
手術は完璧だったが、その医師は患者の家族を間違えていた。完璧ではなかったのである。^^
このように完璧と思えることは、それでも完璧を追求する必要があるのである。^^
完