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(46)空腹

 人は食べないと腹が減る。この空腹となる現象に十人十色じゅうにんといろの違いはない。誰もが同じように空腹となる構造に人の身体からだが出来ているからだ[ダジャレではない^^]。空腹なのに、それでも食べないでいるのは身体に余りよくない。夜に食べれば悪いとかよく言われるが、朝型の人のバイオリズムでの話で、取り分けて夜型の人に悪いということではない。それより、空腹のときに食べるのが一番、身体によく、食べないと悪いらしい。身体が生理的に食べることを要求する・・それが空腹という現象らしい。かといって満腹になるまで食べる・・というのもよくないらしい。━ 腹八分目 医者いらず ━ の格言めいた言葉どおりではある。^^

 一人のサラリーマンが昼の二時過ぎ、フラフラと社員食堂へ駆け込んだ。

「おばちゃんっ! 何でもいいから、すぐ食べられるものっ!!」

 見れば、空腹で今にも倒れそうだ。

「どうしたのよっ! 飯盛いいもり君」

「落城寸前なんですよっ!」

 そう言いながら、飯盛は崩れるようにテーブル椅子へ、へたり込んだ。

「落城寸前?」

「ええ、落城寸前の白虎隊っ!」

「なに言ってんのよっ! しっかりなさいっ!」

「ぅぅぅ…あと30分、仕事、切り上げるべきだった!」

「そんな大げさなっ! はい、お水!」

 食堂のおばちゃんは、水の入ったコップを飯盛が座る前のテーブルへ置いた。

「ああ、これでひとまず五稜郭ごりょうかくっ!」

「五稜郭?」

「はい、五稜郭。水だけではいずれダメでしょうが、ひとまずは…」

「なるほど…。チャーハン定食ならキャンセル分があるけど、それでいい?」

「いい、いいっ! もう、なんでもいいですっ!! それでも…まさか、桜田門外の変ってことは?」

「あるわきゃないでしょ!!」

「食中毒・・あるわきゃですよねっ! ははは…これで明治維新だっ!」

 食堂のおばちゃんは笑いながら黙ってうなずいた。

 やや冷えてはいたが、それでも飯盛は、置かれたチャーハン定食をむさぼるように食べ始めた。

 残り物であろうとなんだろうと、空腹になれば、それでも人は食べて生き続けるのである。^^


                  完

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