(42)兎(と)に角(かく)
ダメと分かっていて、それでもやることを兎に角やる・・と人は言う。兎も角やる・・とも言われるが、まあ、どちらでもいい話だ。^^
どこにでもいる二人の老人が春の陽気に誘われ、語り合わなくてもいいのに訳の分からない話を語り合っている。^^
「いや、それは兎に角やっておかれた方が無難でしょう」
「そうですかな?」
「ええ、そう思いますが…。いえ、思えますなっ!」
「さよですか? なら、やっておきましょう。取り分け変わらないとは思うんですがな…」
「いや、それは変わるでしょうなっ! 食べたあとで出すか、食べる前に出すか・・の違いですが、やっておけば安心して食せます。食べている途中で催す・・ということも考えられますからなっ! この場合は兎に角やっておくべきでしょう!」
「出しますかっ!」
「ええ、出しておいてください。私は出して来ましたから…」
「では、出すことにします」
一人の老人は、そそくさと近くのトイレへ入っていった。
その後、二人は観光バスに揺られながら、買っておいたコンビニ弁当をパクついた。お茶を飲み終え
、二人は人心地ついた。
「どうです? 催さないでしょ?」
「はあ、さようで…。兎に角よかったですなっ!」
それでも兎に角やっておけば、安心して寛げるのである。^^
完