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(40)常識(じょうしき)

 常識じょうしきは常識、上敷うわしき、たたみ・・と言われるほど、社会ルールのような強制力を持っている。^^ そうしないと、社会から変な目で見られないか…という被害妄想におちいるのである。だが、よくよく考えれば、常識を打ち破った発想から新しい発明や発見が派生することも、また事実なのである。それでも! と常識を守ることと常識を打ち破ることは、実は相反するようで同じなのだ。いい常識を守り、悪い常識を打破することは、進歩と同じ効果があるということに他ならない。

 とあるカレー専門店である。久しぶりにカレーを食べようと、猪口いのぐちは駐車場に車を止め、店へ入った。

「何にされますか?」

「… カレーパスタ、1から、量は並。ああ、それに野菜サラダねっ!」

「はいっ!」

 水コップをテーブルへ置いたウエィトレスは、注文を機器へ入力するとスゥ~っと去った。そしてしぱらくして、野菜サラダ、ドレッシング、それにどういう訳かはし+スプーンの食器を置いて去ろうとした。瞬間、猪口は、おやっ? …と思った。洋食の常識はフツゥ~、ナイフ、フォーク、スプーンだろっ!? と思えたからだ。

「あの…フォークを」

 猪口は箸をウエィトレスへ手渡すと、小声で小さく言った。『この店は常識がないのかっ!』と少し怒れてはいたが、そうとは言わず思うにとどめたのである。

 しばらくして、ウエィトレスはカレーパスタを持って現れたが、猪口が頼んだフォークは持参せず忘れていた。ウエィトレスが去ったあと、そのことに気づいた猪口は立ち上がると思わず店員がいる厨房ちゅうぼうへと近づき、「あの! フォークを下さいっ!」と言っていた。すると、「席に座ってお待ち下さいっ!」と、上から目線の言葉が返ってきた。『忘れたくせにっ!』とふたたび猪口は怒れたが、それでもグッ! と耐えて我慢をした。

『ぅぅぅ…この国の常識も、ここまできたかっ!』とえらそうに思いながら猪口はカレーパスタを口にした。常識どおり新メニューのカレーパスタの味は美味おいしかったから、食べ終えたとき、猪口の怒りはいつの間にか消えていた。すると妙なもので、『注文したとき、スプーンとフォークにして下さい、と言えばよかったか…』と、ふと思えた。さらに、『カレーパスタに箸? フォークだろぉ~!?』とも思えた。

 美味しいもので腹が満たされたとき、それでも! という常識に対するいいアイデアや解決策が浮かぶようだ。^^


                  完

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