(36)栄枯盛衰(えいこせいすい)
小難しい話をする訳ではないが、栄枯盛衰という四字熟語はお聞きのことと思う。世の無常を示した言葉で、大層、羽振りがよく、栄えている枝葉だからといって、将来は枯れてしまうことにもなる・・という不安定な変化を憂えた言葉だ。無論、このことは人や家族、企業など、あらゆる分野に共通して言え、当然ながらその逆も有る訳である。
とある田園地帯にある細道を二人の知り合いの若者が歩いている。
「この辺りの景色も変わったなぁ~~!」
「ああ、米だけ作る一毛作だから、冬場は休耕地さっ!」
「昭和30年代、牛が鋤を引っ張って田を耕していたのを今、思い出したよっ!」
「ああ、二毛作の時代だったなぁ~! そのあと、麦踏みだった…」
「麦踏みかっ! 懐かしい言葉だが…もはや、死語だっ!」
「ああ、必死に作物を増産する時代だったな…」
「菜種、レンゲ畑、麦畑が春先には広がってたなっ!」
「それでも、物資や食料不足の時代だった…」
「国会議事堂の前がサツマイモ畑だったそうだぜっ!」
「ああ、その写真は見たことがある。それが今や、TPPで下痢してるぜっ!」
「ははは…飽食で下痢か。下痢はいかん、下痢はっ!!」
「栄枯盛衰だなっ!」
「ああ、またあんな時代になるか…」
「ははは…無いとは言えんっ!」
すでに二十分が経過していたが、それでも栄枯盛衰の昔話は尽きなかった、いつの間にか二人は、同じ道を二周していた。^^
完