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(29)気になる

 すべてを終え、人心地ひとごこちついたあと、さて! 眠るとするか…と身体を横たえた瞬間、ふと、思い出すことがある。そうなるともう眠気ねむけもどこへやら、そのことが気になり始める。『いやいや、まあ、明日でいい…』と心に命じてはみたものの、心は『いやいやいや、それはまずいんじゃないかっ!』と切り返してくる。それでも、『いやいやいやいや、俺は眠るんだっ!』とあらがってみても、心も負けてはいないから『いやいやいやいやいや、それは実に拙いっ!!』と、こう来る。来られれば眠れないから、その対応を考え続けることになり、眠れない。そうなると、遅くまで眠れないまま次の朝を迎え、気分悪く出勤する・・と続く訳だ。^^

 とある町工場である。どうしても納得なっとくした板金ばんきんが出来ず、年老いた熟練工が頭を抱えている。

「どうしたんっす? 親っさん!!」

 若い工員がのぞき込むように熟練工をうかがった。

「いやな…どうもコレが出来んっ!」

「ああ、それですか…。難しそうなヤツですねっ!」

「ははは…俺でさえ難しいんだっ! そりゃ、お前にゃ相当、難しいだろうっ!」

「もう昼時ひるどきですが、それでもやられるんですか?」

「ああ、気になるから、もう少しやってみるつもりだっ!」

「ちょっと、変わってもらえませんかね?」

「ああ、いいが…。お前にゃ無理だろう、ははは…」

 熟練工と変わった若い工員は、いとも簡単にコレを仕上げてしまった。

「親っさん、どうでしょう?」

「…腹が減ってきた! 先にいくぞっ!!」

 ばつ悪く、そそくさと熟練工は食堂へと去った。

 本人には出来ないで気になる内容も、他人は必ずしも気にならないから、スンナリと出来るのである。^^


                  完

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