(24)追(お)う
何事も追われるよりは追う方が安心感があり、気分がいい。のんびり寛いでいると、それでも! と社会は人を追いたてる。そうなることを防ぐには逆に、追う内容を追えばいい。逆に追うとは、先行することを指す。
とある中央省庁のとある課である。来年度予算を折衝するヒアリングが迫っていた。
「来年度当初はっ?」
「はあ、一応は…」
「どれどれ…。…いやぁ~これだと君、バッサリ削がれるぞっ!」
「…そうですか?」
「だって、そうだろ。残額の流用充当が目立つじゃないか。いらないと判断されれば、バッサリ! だよっ!」
「斬られますか!?」
「ああ、脳天唐竹割りで一刀両断だなっ! ははは…」
「ど、どうしましょう?」
「認めさせるには、仕事を追う!」
「はあ?」
「分からないヤツだな。暈すんだよっ! 暈せ暈せっ! 水彩画の要領さ、君」
「はい、とにかく追ってみます」
「ああ、追いなさいっ! どんどん追いなさいっ! ははは…」
「はいっ!!」
そして、桜が咲く四月を迎えた。予算は追う努力が実ったのか、なんとか認められた。だが予算総額は各省庁で暈された挙句、増え、過去の起債額も増え続けることになった。
こういう場合のそれでも! は、追わない方が国としてはいいようだ。^^
完