(22)凹(へこ)む
怒られたり、失敗したり、異性に振られたり・・と、思うに任せないことが私達が暮らす生活の周りでは日々、渦巻いている。誰もがそうならないよう、懸命に抗って生きている訳だが、やはり起こるときには起こる。それが単発的であれば、いつの間にか時が解決して忘れることが出来るのだが、連続して起これば凹むことになる。この凹みを放置すれば、精神的ダメージとして心の中に蓄積して問題だ。そこで、凹んだ心を金槌でコツコツと叩き、内側から板金の要領で修理する必要が生じる。モノは心だから見えず、実に難しく厄介だ。^^
春のポカポカ陽気に誘われ、二人の男が堤防の草縁を散歩している。
「いい陽気になりましたなぁ~」
「そうなんですよっ! 一週間ばかり前は実に寒かったんですがねぇ~」
「そうそう! 今年は雪が多かったですからねぇ~」
「そうでした、そうでしたっ! 私も連日の雪掻きで凹みましたよっ!」
「凹みましたかっ! 実は私も、なんですよっ! それでもやらないと積もるから、やります。すると、腰にジワァ~~と来て凹みます」
「凹むといけませんなぁ~。総てが嫌になるっ!」
「そうそう! やる気がなくなりますっ!」
「そうなると、食べるものが不味くなるっ!」
「はいっ! それでもやると、疲れやすくなる! ははは…」
「負のスパイラルというやつですなっ!」
「そうですっ! 今の日本経済みたいにっ!」
「ははは…上手いっ! 私は昨日、あなたに将棋で負け、少し凹みました」
「ははは…」
二人はうららかな陽光の中、憂さをぶつけ合うことで冬場の凹んだ心を治療した。
凹むストレスには、自然との交わりが一番、いいようだ。人も元は自然で暮らす猿だった・・ということだろうか。^^
完