表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/100

(17)踏(ふ)ん張(ば)る

 お相撲すもう土俵際どひょうぎわで、力士があやうく寄り切られそうになり、それでも、ぅぅぅ…と、必死にる姿は観戦する人々を興奮させ、なにも汗など握らなくてもいいのに、手に汗を握らせる。^^ 踏ん張った挙句あげく、逆転して勝とうものなら、ヤンヤの喝采(喝采)となる。これはお相撲に限ったことではなく、どのスポーツ、いや、人々が暮らすすべての生活にも言えることなのである。

 とある公園のトイレ前である。イベントがあった関係からか、長蛇ちょうだの人の列が出来ている。

「おっ! まだ、踏ん張っておられますなっ!」

 先ほどまで一緒に並んでいた中年男がまだ並んでいる中年男に声をかけた。声をかけたすずしげな表情の男に対し、並んでいる男は限界が近いのか、もよおしを必死に耐える表情だ。

「ああ、あなたはっ! …『ちょっと抜けますから』とかなんとか言っておられましたが…」

「はあ、もう済みました。ははは…」

 男は、ゆとりの表情で返した。

「済みましたとはっ!?」

 限界が近いこともあってか、並んでいる男の声は鋭さを増した。

「ははは…コレ、ですよっ!」

 ゆとりの男は片手に持った袋をおもむろに並んでいる男の前へ差し出した。少し匂いがしたから、並んだ男もピン! ときた。

「ああ、そういうことですか…」

「ええ、そこに手頃てごろしげみがありましたので、そこで…」

「なるほどっ!」

「もう一枚、袋ありますから、よかったら、お宅もどうですっ?」

「はっ、はいっ!! おっ、お願いしますっ!!」

 男は神や仏に祈るかのような声で懇願こんがんした。そして渡された袋を手にすると、疾風はやてのように茂みの中へと消え去った。

 こういう場合の、それでも! は危険で、踏ん張らない方がいいようだ。踏ん張ると漏らすことになる。^^


                  完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ